醤油の知識
鳥山海苔店(2)海苔の基礎知識
「海苔には等級があるんです。」
FAXの束を広げながら、鳥山さんが説明をしてくれます。一般的に売られている海苔には表示されていないと思いますが、仕入れの段階では等級を元に実物を見て競りが行われます。
1等から6等まであって、1等の方が上級とされています。さらに6等より下のもので規格外という意味で「外」があり、本当にごくごく稀に1等より上のものとして「特」という規格があります。
さらに、100枚あたりの海苔の重さは320~340gとされているのですが、それより重いものは「重」が頭について「重1」のようになったり、軽いものは「軽1」となったりと海苔の特製によって頭に記号が付きます。(*この規格は千葉漁連の場合です。)
競りが行われる時期は11月末~4月上旬くらいです。海水温が低いほうが良質な海苔が採れるので、良い海苔と出会えるのは2月くらいまででしょうか。そのため、この短い期間に1年分の仕入れをしなくてはならないのです。
競りの前に出品される海苔の等級リストが送られてくるので、どの海苔をどのくらい欲しいか決めるわけです。もちろん競りなので、一番高値を入れた業者が競り落とすので真剣勝負なんですよ。
1等2等はごくごく少なくて、値ははりますが、ここがうちのような小さな店が生き残れているポイントだとも感じています。先程も説明したように、多くの海苔はコンビニ向けに出荷されています。おにぎりに使う海苔ってわけです。
大量に海苔を確保するためには高い等級のものばかりを揃えるわけにはいかないので、うちのような小さいところが小口の良い物を狙って入手するのです。
1等・2等のダンボールを積み上げながら、これ綺麗な色でしょ?!と差し出してくれたのは「新1」と書かれたもの。
「新って何を意味しているんですか?」
「新しい網に変えたときに最初の収穫って意味なんです。」
表面がツヤツヤして限りなく黒に近い色。
眺めてて嬉しくなるような色。
「業界ではカラスの濡羽色っていわれているんですよ。」
焼きたてのカラスの濡羽色はやはり美味し。
次はその「焼く」工程について。
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
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5
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諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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