醤油の知識
脱脂加工大豆は悪者か?
丸大豆と脱脂加工大豆、どちらが美味しい醤油になる?
丸大豆と脱脂加工大豆、「どちらがうま味の強い醤油がつくれるか?」とつくり手に質問すると、多くは脱脂加工大豆と答えるはずです。醤油のうま味は全窒素分等の数値で計ることができるのですが、脱脂加工大豆の方が数値の高い醤油がつくれます。
丸大豆では出にくい数値が、脱脂加工大豆だと比較的簡単に出たりするといわれるので、単純に脱脂加工大豆の醤油が悪いものと言い切ることはできないと思います。
特徴はコストが安くて、分解効率がよい
大豆は約20%の油分と約35%のタンパク質を含んでいます。脱脂加工大豆は大豆から油分を取り除いたもので、うま味の元になるタンパク質を多く含んでいます。
写真のようにコーンフレークのように平らにつぶされたような形状なので、水を吸いやすく分解されやすい状態になっています。効率的にタンパク質を分解するということにかけては適しているわけです。
醤油づくりで油はどうするのか?
丸大豆でつくった醤油を搾ると油が浮いてきます。長期間熟成される中で油の酸化が進み他用途への転用は難しいといわれ、この段階で分離させて破棄されます。
ただ、丸大豆で仕込んだ場合、長い熟成過程で油がグリセリンとなって醤油の中に溶け込んでいき、まろやかな風味と深いコクを生み出るともいわれています。
丸大豆を選ぶつくり手の理由は
脱脂加工大豆は醤油づくりにおいて生産効率はよいのですが、それでも丸大豆を使いたいという生産者がいます。その一つが原料から顔の見える生産者のものを使いたいという意見です。
脱脂加工大豆の場合、大量の大豆が輸入されてまとめて搾るため生産者の履歴を追うことは困難を極めます。誰がどのような環境で育てた大豆なのかを把握するのなら丸大豆という選択肢になります。
油が膜の役割をすることも
桶仕込みをしている蔵の場合、脱脂加工大豆よりも丸大豆で仕込んでいることが多いようにも感じています。丸大豆の油分が諸味の上部にたまって空気との間に膜の役割をしてくれるという意見があります。
その膜が酸化の進みを遅くしてくれたり、醤油の風味を損なう産膜酵母から守ってくれるといわれています。
両方にメリット・デメリットがあります
脱脂加工大豆で仕込むと数値としてのあうま味が出やすいというのは共通見解だと思います。そのため、桶仕込みをしている蔵でも脱脂加工大豆で仕込んでいる場合もあります。丸大豆醤油と脱脂加工大豆の醤油をブレンドして目指すべき醤油にしている蔵もあります。
結局は、原料ではなくて造り手のスタンス
数値が全てではないとも感じています。数値が低くても口にしてみるとおいしく感じる醤油もあり、あくまで一つの指標です。どの原料を使うかはとっても重要ですが、いくら原料がよくても、製造過程がいいかげんではよい醤油にはなりません。
丸大豆でもイマイチな醤油はあるし、脱脂加工大豆でもおいしい醤油はたくさんあります。 つくり手がなぜその原料を選択して、どのような醤油をつくろうとしているのか?そこがはっきりしている蔵の醤油は、美味しい醤油である確率が高いと思います。
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カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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