醤油の知識

醤油を搾る(圧搾)

圧力を加えて醤油を搾る工程

熟した諸味から醤油を搾り出す作業が圧搾です。布で濾すイメージで、液体と醤油粕とに分離させる方法が一般的です。昔は袋に諸味を入れて、それを積み重ねて上から圧力をかける方式が多かったようですが、近年は風呂敷に諸味を注いで座布団上に重ねて上から圧力をかける方式が主流です。

諸味を平らに均して風呂敷の四隅を折りたたむと座布団状になります。これを何段も重ねていきます。
積み上げられた状態。上手な方が作業するとこのようにきちっと積み重なりますが、大雑把な方が作業をすると崩れてしまうこともあるとか・・・

基本原理はどのメーカーも同じ

中小のメーカーになると上の写真のように3列くらいに積み重ねていって人の背丈を越えない程度の高さにすることが多いですが、ある程度の設備になると何メートルもの高さに一直線に積み重ねていきます。また、大手メーカーになると何百メートルもの長い布1枚で大量の諸味を搾る装置もありますが、基本原理は同じでろ布で包んで圧力をかけます。

タワー式の圧搾機。この筒の中に風呂敷が積み重なっています。建物の3階~4階くらいの高さになります。
諸味をすくう様子
袋だとこのように積み重ねます。ただ、袋は醤油粕を取り除く作業が大変だといいます。
白醤油の醤油粕。かすかな甘さが残っていて醤油粕の中では一番おいしいと感じています。

搾り粕=醤油粕

日本酒もお酒と酒粕に分かれると思いますが、酒粕は甘酒や粕漬けなど有効活用されていますよね。酒粕を求めて探される方も多いと思います。一方、醤油の場合は畑の肥料や家畜への飼料として使われる程度で産業廃棄物として捨てられてしまうこともあります。

食物繊維と塩分が多く含まれていることと、圧搾工程でかなり強い力で搾りきっていくのでうま味成分はほどんど残らないために、あまりおいしいものではないのです・・・。ただ、家庭菜園や有機栽培などをされている方は土に混ぜると醤油をつくってくれた微生物も生きているので活性化されると聞きます。

家庭で諸味を搾る場合

自宅で搾る場合はコーヒーフィルターを使うとよいと思います。紙のフィルターでも大丈夫ですが、個人的にはステンレス製のものを重宝しています。ただ、醤油メーカーが行うように強い圧力で搾りきることはできないので、ある程度の醤油が搾れたら残った諸味は野菜を漬けこんだり料理に調味料代わりに使ったりするのが楽しいと思います。