醤油の知識
醤油づくりの微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌)
微生物のバトンリレー
醤油は発酵調味料とか醸造品などといわれますが、その製造過程の主人公は微生物。その代表格が麹菌・乳酸菌・酵母菌で、この順番に活躍をして大豆のタンパク質をうま味成分のアミノ酸に分解したり、有機酸をつくって諸味のphを調整したり、香り成分に欠かせないアルコールをつくってくれたりと大活躍。
醤油のつくり手もいかに微生物が活躍しやすい環境を整えるかが大切な仕事になっているし、大手メーカーも微生物の研究をとても大切にしています。おいしい醤油をつくるために欠かせない存在で、昔ながらの木桶で仕込んでいる蔵にはその蔵特有の微生物が住み着いていて、その個性が醤油の味わいの違いになってきます。
麹菌
日本酒や味噌などをつくるときにも欠かせない存在で、醤油づくりにももちろん必要不可欠です。蒸した大豆と炒った小麦に種麹をつけて繁殖をさせます。3日ほどかけて繁殖させる工程を麹づくりといって、醤油づくりの中で一番重要といっても過言ではありません。
麹を繁殖させる目的は酵素を生み出してもらうためで、この酵素のおかげで大豆のタンパク質をアミノ酸に分解することができます。小麦のでんぷんも同様にぶどう糖に分解してくれます。
よい麹ができることはよい酵素ができることで、原料をしっかりと分解することができておいしい醤油になるのです。
乳酸菌
ヨーグルトなどで耳にする機会もあると思います。有機酸をつくりだす微生物で、醤油に爽やかな酸味や味の伸びや深みを与えてくれます。
乳酸菌が十分に活躍できないと、うすっぺらい味になるといわれます。そして、乳酸発酵が進むほどに諸味のphが酸性になり、酵母菌が活動しやすい環境になります。バトンリレーのように乳酸菌から酵母菌に引き継がれるのです。
酵母菌
ビールや日本酒でも活躍するアルコール発酵をする微生物ですが、醤油の場合は2種類の酵母菌が活躍してくれます。
はじめに主発酵酵母がでんぷんが分解されたぶどう糖を元にアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して複雑な香りを生み出します。その後に、後熟酵母がゆっくり活動して味に深みをあたえます。熟成期間が長いと深い味わいになるというのはこのような理由からです。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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