醤油の知識
溜醤油
熟成期間が長く、うま味がたっぷりな醤油
大豆の割合が多く、仕込み水は少なめ。色が濃くてとろみと独特の香りが特徴。そして、うま味の量は醤油の中でもトップクラス。熟成期間が長く、中部地方が主産地です。そのままつけ醤油としてはもちろん、照り焼きに使うと綺麗な照りがでると好評です。
熟成期間が長く濃厚で醤油の存在感は強い
6種類の醤油の中で熟成期間は長め。2年~3年程度をかける蔵元が多く、原材料の大豆の割合が多く、仕込み水は少なめです。
大豆由来のうま味成分(アミノ酸)の量が多くなる半面、出来上がるまでに時間を要します。うま味はたっぷりなので、そのままつけ醤油として。熱を加えると魅力もアップするので照り焼きなども好評です。
主産地は中部地方
愛知県、岐阜県、三重県などの中部地方を中心に製造されています。特に愛知県武豊町は主産地とされ多くの蔵元が軒を連ねています。
大豆9割、小麦1割程度の比率で仕込むことが多いようですが、大豆と塩のみでつくる蔵元もあります。その場合は、小麦を使っていないことから、グルテンフリーの醤油として海外からも人気を得ています。
仕込み水が少ないので攪拌をしません
仕込み水の量が少ないことも特徴です。一般的な濃口醤油が大豆、小麦などからつくる麹の量に対して120%~130%程度の塩水で仕込むのの対して、溜醤油は50%~100%で仕込みます。味噌玉をつくって上から重石をするので、醤油の仕込みよりも味噌の仕込みに似ているかもしれません。
そして、水分量が少ないので攪拌(かき混ぜる作業)ができないために「汲みかけ」という作業を行います。この作業を数年間続けてようやく完成に至ります。
うま味の量はトップクラスです
上の表は醤油に含まれるうま味成分の平均値をまとめたものです。溜醤油はうま味(全窒素量)が3%のものもあり、一般的な濃口醤油の2倍程度のうま味をもっていることになります。
うま味が強いということは醤油としての主張も強いということなので、素材そのものを味わうには若干不向きです。ただ、醤油のうま味を加えたい、素材との一体感としての味わいをつくる、脂が多かったりクセが強い素材と合わせていくとバランスがよくなります。また、熱を加えるときれいな照りを出すので、照り焼きなども好評です。
つけ醤油や照り焼きに
うま味がたっぷりなので、そのままつけ醤油として。照り焼きに使うと綺麗な照りがでると好評。赤身のお刺身や納豆にも相性は抜群です。
醤油の知識ランキング
醤油の種類
-
素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
詳細 -
美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
詳細 -
甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
詳細 -
幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
詳細 -
濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
詳細 -
濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
詳細
醤油のつくり方
-
1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
詳細 -
2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
詳細 -
3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
詳細 -
4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
詳細 -
5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
詳細 -
6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
詳細