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吉野杉の魅力を探る④:いつも変わった人がキッカケになる

辻木材商店の辻健太郎さん(左)と吉野中央木材の石橋輝一さん(右)。

吉野杉と地域の繋がり

「最初は、何してんだ?!この人って感じでした…」と、辻木材商店の辻健太郎さんが教えてくれました 。吉野地域は林業発祥の地として500年以上の歴史があり、木材の貯木場や市場、製材所が数多く点在し町全体が一つの木工事業所のような雰囲気があります。最盛期には関係者で賑わっていましたが、国内の木材需要が減少するとともに事業者も少なくなっていきました。

そんな中、吉野中央木材の石橋さんが「吉野貯木まちあるき」を始めました。これは地域外の取引先や木材に興味を持つ人々に、製材所や木工所などの関連施設を見学してもらう取り組みです。冒頭の辻さんの発言は、その先頭に立って案内をする石橋さんを指してのものでした。「外の人に案内をしても、自社の売り上げが増えるわけでもないのに、どうしてこの人はこんなことをしているのだろう?!」と。

林業の復興と新たな交流の場

「地元の人でも、閉ざされたものづくりのエリアって近寄りがたい存在だったと思うんです」と、石橋さん。「木に触れてもらう。それが木の魅力を伝える第一歩のような気がするんです」。見学ツアーは徐々に広がりを見せ、今では「よしのウッドフェス」が開催され、Airbnbとの協力関係を築き「吉野杉の家」というコミュニティハウスも誕生しました。今では辻さんも若手メンバーをまとめる役割を担い、共に吉野杉の魅力を発信しています。

吉野町の中井章太町長は、「多くのプロジェクトが立ち上がっています。そこで大切なのが、それぞれの取り組み毎に微妙にメンバーが異なることなんです。吉野町外のメンバーも含めて人々が繋がり、そこから化学変化が生まれています」と話します。「山があって、製材があって、その木材を使った商品が生まれる」。林業の深みを知り、体験する機会が増え、多くの人が吉野杉の魅力に触れるようになっています。