醤油の知識
木桶が減少してきた背景
工業化の波と木桶醤油の存続
「木桶仕込みの醤油」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?と、質問をすると、多くの人は「こだわりが感じられる」「伝統っぽくていい」「高級感がある」といったポジティブな回答が返ってくると思います。しかし、半世紀ほど前、高度経済成長の真っ只中にあった日本では、この質問に対する答えは180度異なっていました。「時代遅れ」とか「早く手放したい」といったネガティブな意見が主流だったはずです。
当時は、低コストで大量生産を可能にする機械化へと突き進んでいました。人の手による作業が機械に置き換わることで、作業効率は飛躍的に向上。より低コストに、より大量に、そして、品質もあげていく。今まで大人数の蔵人が何往復もして運んでいたものが、自動ですーっと運ばれる、そんな光景に目を輝かせて喜んでいたはずです。
時代の波を越えて、評価が変わってくる
とはいえ、そんな時代を経て、今なお木桶を使い続けているメーカーがあります。もちろん、様々な理由がありますが、よく聞く話としては「お金がなくて機械が買えなかったみたいだよ」というところからはじまって、偶然が重なって今に残っているケースが多いような気もします。
当時、隣の同業者が機械を導入したと聞けば、いいなと思いながら、古臭い道具が恥かしいと思ったこともあるそうです。でも、少し時間がたつと、食の安全安心と騒がれるようになるようになり、原材料も国産のものがいいよねと、そんな流れの中で昔ながらの製法が少しづつ注目されるようになってきたそうです。
そして、このような流れは醤油業界だけでなく、味噌や日本酒の業界でも同様であったはずです。すると、何が起こっていたかというと、新規で木桶を購入しようと考えるメーカーがほぼ皆無であったということでした。つまり、木桶職人の立場からすると、新規の注文がない数十年間。そう考えれば、そりゃあ、廃業してしまっているよねというのが実際のところであったと思います。
でも、近年、消費者側の変化によって、木桶を取り巻く環境は大きく変わってきているように感じています。
醤油の知識ランキング
醤油の種類
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素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
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美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
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甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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