醤油の知識

069|3年目の発見み

「醤油造りって大変そうですね。」 と、言われる事がよくあります。

造られている工場の設備によって、大変な工程はそれぞれだと思いますが、うちでは、ダントツで「小麦の原料処理」です。少量ずつで時間がかかって、混ぜっぱなし。という、なかなか根気のいる作業です。

こんな感じで、今年は2t(2000kg)炒ります。



小麦を撹拌するのに竹のホウキを使います。
左は昨年使っていた物、右は今年の物です。
昨年まで、撹拌中に竹の枝がしなって小麦が窯の外に飛んでいくという事がよくありました。

それで、今年はひもで縛ってみたら… 全く飛ばない!!  なんと快適な。
しかし、こんな単純な事に気づくのに3年かかるなんて…。
恥ずかしいですが、自分の中では大発見でした。 



小麦の話のついでに、醤油造りに使う小麦はこんな感じで変化します。

1)小麦(左下)
2)炒った小麦(上)
3)割砕小麦(右下)

一般の方は醤油=大豆。というイメージが強いみたいですが、一般的な濃口醤油では、大豆と同じ量の小麦が使われてます。 小麦のデンプン質が製麹中の麹菌、諸味での乳酸菌・酵母など、重要な働きをする微生物の栄養源となります。なので、小麦はとても重要なんです。 

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元