醤油の知識

053|いよいよ仕込みが近づいて

遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。
今年は去年仕込んだ醤油の圧搾に向けて、
色々と準備しなければいけないので慌しい年となりそうですが、
まめに更新していけるように頑張ります。


さて、昨年末の更新時にも書きましたが
今月(2012年1月)から醤油の仕込みをスタートします。
正月休みからそれに向けて、少しずつ準備を始めています。


まずは、仕込みに使う桶。今年は仕込み桶の周りに柿渋を塗りました。
酒造用の桶や道具には、防腐・汚染防止のためによく柿渋が塗られますが、
醤油業界では、ほとんど使うことは無いのではないかと思います。

なぜ塗るのかというと、
これは桶の下のコンクリートにペンキを塗ったのと同じ事ですが、
夏場など桶の表面(外側)には様々な微生物が寄生しています。
産膜酵母もあるし、カビもあるし、色々です。
で、こういうのは匂いが悪く、その場全体の空気も嫌な感じです。
その場の空気感というのは、
諸味に与える影響が大きいような気がします。(僕の想像です。)

その対策として、表面を柿渋でコーティングすれば防げるのではないか?
という考えで、やることにしました。
あともう一つは、漏れの防止にも効果があるのではないかと思っています。
なんとなく木が締りそう…っていう根拠のない妄想の話しですが、期待しています。


<塗る前の桶>



<塗った後> 塗って、乾かして、塗って…と、5度塗りしています。 



もちろん、底も5度塗り! 



柿渋塗と並行しながら、小麦も地道に炒っています。
12月から、親戚が臨時で来てくれていて、
僕が出来ない時には代わりに炒ってくれています。

時間のかかる作業なので、本当に助かります。 



炒った小麦。
いよいよ来週から、2年目の醤油仕込みがスタートです。 

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元