醤油の知識
醤油の火入れ
醤油の火入れ
搾った生揚醤油に熱を加えることで、醤油にとっても醤油の風味にとっても重要な工程です。一般的には80~85℃で10分~30分の範囲で維持し冷却することが多いようですが、65℃程度で長時間の火入れの場合もあります。つくり手が何を大切にするかによりますが、そもそもの火入れの目的は以下のようになります。
生揚醤油は微生物の活動により醸造されたものなので、微生物たちが生き続けています。このままの状態でビン詰めすると、発酵が進み品質が変化してしまうため、熱を加えて微生物たちの活動を止めます。
酵母菌や乳酸菌、一般細菌は60~80℃数分で死滅し、酵素であるプロテアーゼ、アミラーゼなども80℃で30分の火入れで失活するので、これらの温度、時間が火入れ時間の目安になります。
醤油に熱が加わることで冴えた赤みの強い色になります。アミノカルボニル反応が促進されることが要因となります。ただ、淡口醤油など淡い色を大切にしたい醤油については、色が濃くなることを避けたいので 、火入れについても色を付けないようにも工夫するわけです。
醤油を熱するとこうばしい醤油香がでてきます。「焼とうもろこし」や「焼き鳥」をイメージしていただければ分かりやすいと思います。これもアミノカルボニル反応によって「火香(ひが)」を付けるという表現をされますが、火入れ方法を追求して独特の香りを大切にする醤油蔵も多く存在します。
この火入れが腕の見せ所。配合バランスや火入れ温度の調整など微妙な違いが味を左右します。そのレシピは門外不出のもので、代々その蔵が守っているものでもあります。
熱を加えると凝固する沈殿物(火入れオリ)が発生します。火入れによって分解されなかったたんぱく質、乳酸菌や酵母菌がオリとして固まるので充填前にろ過の工程で取り除くことができます。
火入れの方法は様々
昔ながらの方法としては直火の上に置かれた大釜で直接熱を加える方法があります。その後にタンクの中に配管を設置して蒸気を流すことで熱を加える方法に移行しました。
今ではこの蛇管方式とプレートヒーター方式、二重釜方式などメーカーによって様々な方法があります。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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