醤油の知識
地域の中の醤油蔵
創業が分からない
創業何年ですか?と質問すると、分からないと答える醤油屋さんって、結構います。明治や大正の創業ならそうでもないと思うのですが、安政〇年とか、文久〇年とかになってくると、何年前の出来事か即答できないですし、ペリーが来航した時代なんですよと聞くと、教科書に載っている時代になってきます。
おそらく〇代前の〇〇さんが創業のはずだから、その時を創業にしています・・・という話や、この前、蔵の中を整理していたら昔の資料がでてきて、うちが創業としていた以前から醤油をつくっていたみたいなんです・・・という話を耳にしたりも。新規参入がほとんどない業界ですが、創業100年でも、まだまだ短い方ですよという業界も珍しいと感じています。
水は運ぶのがたいへん
車がない時代に水を運ぶことは大変でした。昔の単位でいう1石(約180リットル)を人が抱えて運ぶことはできないですし、四斗樽(約72リットル)を山を越えて運ぶことも相当なことだったはずです。
そのため、それぞれの地域に醤油屋、酒屋、味噌屋などが存在し、その地域でつくったものをその地域で消費するというのが当たり前だったと思われます。
醸造業はお金がないとできない
これは醸造業全般にいえることだと思いますが、比較的お金持ちの家が多かったようです。それも考えてみれば納得なのですが、醤油づくりをはじめて商品になって売れるまでに1年~2年の時間が必要となります。
つまり、原料を仕入れて、たくさんの人件費をかけて、1年経ってようやく商品が出来上がるので、支払いはどんどんするけど、売上金が入ってくるのはずっと先になります。
しかも、当時はすぐに現金が入るのではなく、売上帳に記録していって盆と年末に代金の請求をしていたこともあったそうで、さらに現金収入は先延ばしになります。こう考えると、ある程度の資金力がないと醸造業はできなかったことがわかります。
いろいろな逸話も
そのため、醤油屋が位置しているのは街並みの中心地や街道沿いだったりもします。市役所の近くや駅の近くなど、地域全体がにぎわっていた当時にはたくさんの人波と勢いを感じるような場所にあったりもします。
そして、長くその地域とともにいるので、地元のリーダー的ポジションだったり、地域の打ち合わせは醤油屋に集まるという話や、過去にまちの大火事があった時には水がないので醤油をかけて消したという逸話があったり、地域と密接に関わっている存在だと思います。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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