醤油の知識
081|オリゼとソーヤ
近年、「麹」という言葉を耳にする機会が増えたかと思いますが、
この麹に利用されるカビの代表はアスペルギルス・オリゼ。
醤油・味噌・日本酒・米酢・みりん、などに使用されています。
醤油では、このオリゼ以外にアスペルギルス・ソーヤという菌も使われます。
と言っても、オリゼを使われているメーカーが圧倒的に多いです。
うちの仕込みでは、2年目までは沢山の種麹を使いました。
メーカーも色々ありますし、醤油用のオリゼでも何種類もあり、
ソーヤも何種類もあります。
なので、毎回メーカーや種類が異なる種麹を使っていました。
そうすると、製麹する時に温度の上がり方が違ったり、
胞子の多い少ない、香りの違いなど、色々と感じる事があります。
そして、それが2年の発酵・熟成を経て、2つの桶で確かに違う醤油になるのですが、大きくは違わないし、しかも種麹がバラバラなので、この違いが麹に由来するものなのか…仮に麹だとしても、どの麹が良かったのか悪かったのか… 全部混ざっているから比較できない…。
まぁ2年目まで、はうちの製麹方法にあった種麹を探す。
という事が一番大きなテーマだったので、
それはそれで仕方なかったと思います。
そして一期前の3年目の仕込みでは、
2本の桶それぞれ単一の種麹で仕込みました。
そうすると、やはり諸味の状態で差があって、
自分の中で種麹のもたらす要素は思っていたより大きそうだ。
という結論に至りました。
なので、今年は種麹を比較するならまずこれでしょ!
という事で「オリゼ」と「ソーヤ」それぞれ単一の種類・メーカーの物で仕込みを行いました。
見た目は変わりませんが、とりあえず写真を。
2014年1月仕込み「オリゼ」
2014年2月「ソーヤ」
とりあえず、ここまで違った箇所をあげると
・製麹時、オリゼは増殖(温度上昇)が速くソーヤは遅かった。
・ソーヤはオリゼに比べて出麹時の胞子が少なかった。
・ソーヤの方が出麹の重量が重かった。
・仕込み直後、オリゼの諸味は固いがソーヤはゆるかった。
この2つの諸味、最終的にどこまで違ったものになるか分かりませんが、
完成まで分析値なども織り交ぜながら報告していこうと思っております!
1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。
ミツル醤油醸造元
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原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
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麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
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5
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諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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