醤油の知識

082|再仕込み醤油

今期最後の仕込みは、初の試みである「再仕込み醤油」
「生成り、2010」最後の圧搾の生醤油を使って仕込みました。

再仕込みについては、本当は昨年2010を搾り始めた時期に仕込む予定でした。しかし、初の搾り&販売準備などでゆとりが無かった事と、まだ「生成り、」の評価も分からない状態で、しかも販路もこれからという時に、先走ってアイテムを増やすのも微妙だな‥ と思い、仕込むのを延期したのでした。

1年後の今年、再仕込みに使う生醤油が無い。という状態だったらそれはそれで嬉しかったのですが、たっぷりと残っており、今年は仕込む事になりました。笑

再仕込みがどんな醤油か簡単に説明しますと、その他の醤油(濃口・うすくち・たまり・白)は、麹+塩水で仕込むのに対して、再仕込みは 麹+<生醤油+塩水>で仕込みます。なので、濃厚なエキス分の多い醤油となります。

一般的に、仕込みに使う生醤油は塩水で希釈して使用します。
醤油そのままでは微生物の発酵や原料の分解が悪いため、希釈して濃度を薄めます。

しかし、今回はあえて希釈せず生醤油だけで仕込む事にしました。
成分の濃さ=美味しさ。 とは全く思っていないのですが、やはり再仕込みの特徴であり魅力は味の濃厚さだと思うので、一番極端な仕込みでやることにしました。

もちろん、原料の分解率や醤油の収量はかなり悪いと思いますが、そもそもうちの醤油の利用率・歩留まりは最低レベルなので、それならとことんそっちでいこうと。 笑

一応、予備試験として一昨年にペットボトルで数種類仕込んでいるので、ある程度のイメージは掴んで決めました。 


さて、実際の仕込みの流れは今までの濃口と同じです。
まず使う量の3分の1程、生醤油を入れます。 



そして、麹を投入。






仕込み完了。 (2月26日)



約3カ月たった現在は酵母の発酵が始まってます。
ただ、酵母の発酵が始まる前にもうちょっと原料が溶けて欲しかった。という感想です。この濃度でどれだけ酵母が力強く発酵できるか、知恵をしぼりながら見守りたいと思います!




城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元