醤油の知識
桶が呼吸している
きっかけは、スプーンたて。
醤油を試食いただく際のスプーンたて。どうしようかな?と考えていました。
プラスチックだと味気ないので、木をくりぬいて作ろうと思ったのですが、竹がまさにその形だと気づき予定変更。ただ、地元のホームセンターへ探しに行っても、ちょうどよい竹が見つからないのです・・・細い竹はあっても、太くてスプーンたてになりそうな竹の取り扱いはないというのです。
生えている竹をいただいて
知人に相談すると竹を切って送ってくれました。ちょうど良い長さに切りそろえ、綺麗に洗ってヤスリをかけてみると、思い通りのスプーン立ての完成・・・となったのですが、数日後に「ピキッ」という音が頻繁に聞こえるようになるのです。
何の音だろう?!と思っていたのですが、原因が分かったときには上の写真のようになっていました。この経緯をブログに書いたところ、予想以上に各方面から情報をいただきました。結論としては、竹はしっかり乾燥をさせてから切らないと割れてしまうということでした。
乾燥させないと割れる
写真の2つの竹は同じ時期に切断したもので、左の竹は部屋の隅に保管されていたもの。右の竹はスプーンたてとして使用したもので、空調の風が当たる場所にあり乾燥のスピードも速いと思われます。
他にも節のない竹もあるのですが、こちらは見事にぱっくりと割れてしまっているので、やはり、節がついている状態でしっかりと乾燥させ、その後に切断するのが正しいようです。
そういえば、醤油を仕込む桶をつくる時も、木材の乾燥が重要なのだと聞いたことがあります。人工的に急速に乾燥させることもできるけど、自然の中でゆっくりと乾燥させたもののほうが良い組みあがりになるとか・・・自然の材料を相手にするときには「時間」が必要だなと改めて感じたのです。
桶が呼吸をする
桶の表面を触ると、しっとりと湿っている時や、カラカラに乾燥している時があります。雨が降っていると水分をたっぷりと吸い込んで、まるで呼吸をしているようです。
また、「桶は保温効果もすごいですよ」とつくり手は口にします。桶がプラスチックのタンクに変わり、機械を導入することによって数十人で行っていた作業が数人で行えるようになります。さらには温度管理や生産管理が容易になり、量質ともに安定していくわけです。
ただ、自然の時間の流れでつくられるこその魅力もあるのだと思います。
80人に一軒の桶屋があったとか
江戸時代に子供が生まれると産湯は「たらい」の中へ。食卓のご飯を入れておく「おひつ」とか「お風呂」も桶と定義してしまえば、ありとあらゆるものが桶でできていたわけです。
もちろん、醤油の醸造・貯蔵・運搬にも桶が欠かせませんし、「風がふけば桶屋が儲かる」なんていわれたりと、桶が生活に密着していたのでしょうね。80人に一軒の桶屋があったと聞いたことがあります。江戸時代の人口は148万人・・・今からしたら考えられないことですよね。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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