醤油の知識
醤油は時間が経つと熟成する?!
時間がたつほどおいしくなる?!
「醤油は発酵とか熟成とかいわれるから、時間がたった方がおいしくなるのでは?」と質問をいただくこともあります。ウイスキーやバルサミコ酢などは数十年ものがあって高い値が付いていますが、醤油の場合は長期熟成=おいしいかといわれると、残念ながらそうではないように感じています。
発酵には分解するものが必要
発酵は微生物の働きによって、ある物質が分解されて他の物質が生み出されることをいいます。具体的には、麹菌の働きでつくられた分解酵素によって、大豆のタンパク質がアミノ酸に分解されたり、小麦のでんぷんが糖に分解されて、その糖をもとに酵母菌がアルコールをつくりだしたりという現象です。つまり、分解するもとになるタンパク質やでんぷんがなくなればそれ以上の変化は起こらないわけです。
ある程度の熟成は効果的
一方で、時間をかけて熟成させることで塩かどがまろやかになったり、味がなじんでくることは確かにあります。ただ、同時に酸素と触れることによる酸化も進みますので、ある程度を超えると劣化の一途をたどるように感じています。
時々、20年くらい熟成された諸味に出会うことがあります。つくり手も出荷をするタイミングを失ってしまい、気づけはこんなに時間が経ってしまったと口にされることが多く、見た目にはかなり黒く色がついています。醤油に含まれる多くの塩分のおかげで雑菌などからは守られているため、そのまま口にすることはできるのですが、おいしいかと問われれば、微妙・・・という返答になってしまうと思います。
ビン詰めされた醤油は早い方がおすすめ
醤油は火入れという熱を加える工程があり、ここで発酵・熟成の主役である微生物たちの活動がストップします。そのため、ビン詰めされて製品となった醤油には微生物は生きていません。そのため、ビンの中で発酵することはありません。新鮮なうちにお召し上がりいただくのが一番だと思います。
一方で、つくり手によっては製品となって1ヶ月程度たったものや、トラックなどで運ばれる振動が醤油をおいしくするという意見を持たれている方もいます。ただ、あくまで数ヶ月の間にみられる現象であり、やはり新鮮な状態に近い方がおいしいと思います。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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