醤油の知識
戦時中の醤油
戦中戦後にかけて醤油の置かれている環境は大きく変わります。物資難の時代に醤油の原料である大豆は進駐軍からの配給だったので、どこにどのくらいの量を配分するかはGHQの施策政官(経済科学局醤油関係担当官アップルトン女史)に拠るところでした。当初は塩酸分解アミノ酸業者:醸造醤油業者=8:2にする計画だったようで、醸造醤油の危機が訪れようとしていたときに、効率的な製造方法(新式2号)をキッコーマンなどの大手企業が開発し、配給比率は3:7と逆転して現在にいたる醤油づくりが守られたという背景があります。(参考:日本の醤油 横塚保著)
それでも、原料物資の少なさは現実のもので、アミノ酸液を使った醤油が多くの地域で流通していたようです。そして、この流れが変わってくるのが昭和30年代後半からの「中小企業近代化促進法」。この法律は早急に近代化を図る必要のある業種に対して、計画実施にあたって国が支援するというもので、醤油業界では本醸造(アミノ酸液を使わない作り方)の醤油づくりと協業化の推進を行いました。
*参考
JASの規格によるところの醤油の種類は、本醸造・混合・混合醸造の3つ。このうち、混合・混合醸造の旧式の名称は以下の通りです。
新式醸造→混合醸造方式
アミノ酸添加法→混合方式
醤油の知識ランキング
醤油の種類
-
素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
詳細 -
美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
詳細 -
甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
詳細 -
幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
詳細 -
濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
詳細 -
濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
詳細
醤油のつくり方
-
1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
詳細 -
2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
詳細 -
3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
詳細 -
4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
詳細 -
5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
詳細 -
6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
詳細