醤油の知識
酵母菌
醤油づくりに欠かせない微生物
酵母菌といえば日本酒やビールを連想される方も多いはず。アルコールを生み出す微生物です。そして、醤油づくりに欠かせない存在です。製品になった醤油にはアルコールが数%含まれていて(多くても3%程度)、醤油を皿に注いだ時にアルコールの揮発にすることで醤油のあのこうばしい香りがふわっとたつのです。
主発酵酵母と後熟酵母
醤油づくりで活躍する酵母は大きく2つ。主発酵酵母と後熟酵母です。まず主発酵酵母がブドウ糖を元にアルコールを生み出し、乳酸菌がつくり出した有機酸と化学反応をして複雑な香りをつくりだします。
続いて、主発酵酵母の活動が落ち着き熟成期に入ると後熟酵母にバトンタッチ。小麦の皮の成分から熟成香に分類される燻製のような香りを出し風味に深みを与えるなど、ゆっくりゆっくりと活動していきます。この深みは一年以上醸造した醤油でないと出てこないといわれています。
酵母と酵素
この2つは混同されやすいのですが、酵母は微生物で、酵素はタンパク質、物質です。また、酵素を生み出すのは麹菌(微生物)で、麹菌が繁殖をすると酵素を生み出し、この酵素がいろいろなものを分解してくれます。
小麦に含まれるデンプンを酵素がブドウ糖に分解してくれ、そのブドウ糖から酵母による発酵によって、香りをつくり出してくれています。
乳酸菌と酵母菌
実は、酵母菌が活躍する前に乳酸菌が活躍します。ここで生産者が気にするのは、しっかりと乳酸菌を活躍させること。酵母菌が動き始めると乳酸菌は活躍の場を失ってしまうのです。特に温度が高くなると酵母菌は活発に活動するので、寒い時期に仕込みを行い、しっかりと乳酸菌に活躍してもらった後に気温が上がってきて酵母菌にバトンタッチするというのが理想といいます。
酵母菌と嫌気性
微生物の中には空気が必要な好気性生物と空気を必要としない嫌気性生物があります。酵母菌の場合はアルコール発酵をするときには嫌気性ですが、自身が増殖するときは好気性といわれています。
醤油の知識ランキング
醤油の種類
-
素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
詳細 -
美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
詳細 -
甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
詳細 -
幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
詳細 -
濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
詳細 -
濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
詳細
醤油のつくり方
-
1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
詳細 -
2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
詳細 -
3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
詳細 -
4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
詳細 -
5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
詳細 -
6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
詳細