醤油の知識
アミノ酸液とは
うま味成分が凝縮された液体
アミノ酸液は一言でいうと「うま味成分が凝縮された液体」となります。専門的にいうと「大豆や小麦グルテンなどのたんぱく質原料を酸分解し、炭酸ナトリウムなどで中和したもの」となります。
ただ、実際に口に入れてみると、それだけ単体でおいしいと感じるというよりは、諸味や生醤油とブレンドしたり甘味料を加えたりすることでおいしい醤油に仕上がります。
製法によって3つのタイプに分かれます
醤油の製法によって、本醸造、混合、混合醸造の3つのタイプに分けられます。このうち、混合と混合醸造にアミノ酸液が使われます。混合が搾った醤油(生揚醤油)とアミノ酸液を混ぜるのに対して、混合醸造は諸味の段階にアミノ酸液を入れて一緒に熟成をさせます。
九州などの甘い醤油が好まれる地域では多くが混合、混合醸造の製法によるもので、甘草、ステビア、サッカリンなどの甘味料と共に甘みづけをするケースが多いです。
意見は分かれます
アミノ酸液については様々な意見があります。大豆、小麦、塩以外の原材料や添加物が入っている醤油は偽物だという意見を耳にすることもあります。ただ、九州・四国・中国地域、北陸や東北などの地域ではアミノ酸液を使った醤油が一般的であることも事実です。
地元のスーパーに行くとこのタイプの醤油が主役になっていて、その土地で育った方にとってはこの味が醤油なのです。その意味で、一概にアミノ酸液をつかった醤油を否定することはできないと感じています。
つくり手の意見も様々ですが
つくり手の立場からも意見は分かれていると感じています。「あくまで醤油といえば本醸造」といわれる方や、「地元の方に支持されるのはアミノ酸液を使った醤油」といわれる方、「適度なバランスでアミノ酸液を加えると絶妙な味になる」とされる方まで様々。
ただ一つ言えるのは、昔は原料コストを安く抑えるためにアミノ酸液を使っていたこともありますが、現代では大豆、小麦、塩だけの醤油が安価につくれるようになっています。コスト重視が第一の目的でアミノ酸液を使っている生産者は少ないように感じています。
使用上のルール
JAS法の定義によれば、アミノ酸液の使用量は窒素換算で80%以下とされています。逆をいえば、アミノ酸液 80+本醸造醤油 20でも醤油と定義されます。同じ混合タイプの醤油でも中身は全然違うということになります。アミノ酸液がはいっている醤油=ダメな醤油とは絶対に言いたくありません。
一番大切にしたいのは、生産者がどのような考えで醤油造りをしているか?アミノ酸液を使うなら何故使っているのか?その部分を知ることなしに、原料表示のみで良い悪いを判別したくはありません。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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