醤油の知識
職人醤油ヒストリー(7)掘り下げることで見えてきたコト
掘り下げることで見えてきたコト
これまでに400くらいの醤油メーカーを訪問してきました。好きだなと思える蔵元もあれば、嫌いだなと感じる蔵元もありました。質をとことん追求するスタンスがひしひし伝わってくるところもあれば、伝統にあぐらをかいているなと感じてしまうところもあります。ただ、多くの醤油蔵を訪問する中で「大切にするべき」と感じることは、醤油業界に限ったことでないと思うようにもなってきました。
例えば、飲食店の良し悪しはトイレを見れば分かるというような話があります。醤油蔵の建物は数十年使われているものが多いので、決して新しいものではありませんが、よい醤油を手掛ける蔵は丁寧に管理がされています。掃除の仕方や、事務所の書類などの扱い方、ダンボールなどの梱包資材の管理方法などです。考えてみれば当たり前で、それらに気を配って、核となる醤油づくりに手を抜くはずがないわけです。その意味ではつくり手と製造現場を見れば商品が分かるとも言えると思います。
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正直、最初は「国産や有機原料で、添加物などが一切なくて、桶づくりなど伝統的な感じがするような一見して付加価値がありそうな醤油」が良さそうだと思い込んでいました。ただ、表面的なものでしかないのだと強く感じるようになりました。それよりも、どのような考えがあって、そのつくりをしているか。考えていることと製造現場が一致していることが大切なのであって、その背景にはその土地の気候や食文化があることも思い知らされました。
たとえ国産の原料を使っていなくても、添加物を使っていても、「これがうちの醤油なんだ。うちのお客さんが一番美味しいって言ってくれる醤油なんだ。」と、お客様を大切にしながら懸命に造りに没頭している職人が手掛ける醤油。このような醤油こそ紹介していきたいと考えています。何よりも大切にしたいのは「人」なのだと気づきました。そのため、職人醤油には様々な醤油がありますが、共通しているのは私たちがその造り手や蔵を好きだということ。この人たちとずっとお付き合いしていきたいなと感じる醤油蔵です。これが私たちが一番大切にしたい基準になっています。
醤油の知識ランキング
醤油の種類
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素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
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美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
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甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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