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ダグラス・ブルックスさんが挑む和船伝統技術の記録

小豆島の木桶づくりにダグラスさんがやってきた

小豆島で行われた木桶づくりに、ダグラス・ブルックス(Douglas Brooks)さんが参加されました。いきなり現場に飛び込んだ理由を聞くと、「和船研究家」であるといいます。さらに話を聞くと、最初に弟子入りした師匠は佐渡で「たらい舟」を作っており、その後も全国各地の和船の名匠たちに弟子入りし、技を学び続けてきたそうです。

そこで、「日本とアメリカの船づくりの違いは?」と尋ねると、

「全然違うよね。アメリカなら、伝統技術を残すために、学校、つまり専門学校をつくろうとするんだよ」。

と語ります。「ん?どういう意味?」と尋ねると、

「伝統的な技術を残したいと思えば、アメリカではその技術を体系立てて整理して、一斉に教える仕組みを整えようとすると思う。でも、日本は、技術は師匠から弟子へ直接伝えるもので、記録として残されることがほとんどなかったと思うんだ。今まではね」。

実際、ダグラスさんが各地の和船職人に弟子入りした時、誰も技術を文章や図面に記録しておらず、「見て盗め」的な伝授方法が主流だったそう。そこで彼は、写真を撮り、設計図にまとめ、さらには何冊もの書籍として英文で出版するに至っています。

でも、そんな見て盗めに慣れた師匠たちは、記録として残すことに反対したのでは?と尋ねると、彼は笑いながら

「時代がよかったんだよ」と。

ダグラスさんが弟子入りした頃、どの師匠も60代、70代と高齢。なおかつ弟子がいない状態でした。もし、師匠がリタイヤしてしまえば、その技術は完全に失われるタイミングだった訳です。

「あと10年早くても、師匠は記録を認めなかったと思うし、10年遅ければすでに引退してしまっていた。まさにちょうどよいタイミングだったんだよ」。

このやりとりが、すごく印象に残っています。そんなことを思い出しながらwebを調べていたら、ダグラスさんのwebページを発見しました。
http://www.douglasbrooksboatbuilding.com/index_j.html

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