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吉野杉の魅力を探る③:葉枯らしと運搬

半年ほどその場で自然乾燥させる葉枯らし

吉野杉の特徴である「密植多間伐」は、たくさんの木を植えて、人がきちんと管理をすることで細かな年輪のまっすぐな木になります。年輪が細かいということは、成長のスピードがゆっくりということ。目のつまった強度の強い木材になります。

急な斜面が多い吉野では、木を伐採する時は山側に倒すそうです。「そのままの状態で半年ほど置いておきます。『葉枯らし(はがらし)』という作業です」と、切った後もその場で自然乾燥を続けます。伐採直後の木材は水分を多く含んでいるので、枝葉を通して水分を蒸散させることで、吉野杉の特徴のひとつである薄いピンクのきれいな色になるそうです。

この広場までヘリコプターで運搬

山からヘリコプターで運ばれる

そして、葉枯らしの終わった木材はヘリコプターで近くの広場まで運ばれます。「ヘリコプター?!」と思いますが、なにせ吉野の山は急な斜面。わざわざ林道も整備することを考えると、ヘリコプターを使った方が低コストなのだそう。

山の麓にある広場からはトラックで陸送されて原木市場に運ばれて競りにかけられます。木材には刻印が押されていて、どの林業家が育てたものか分かるようになっているそうです。それも競りの際の判断基準の一つになっているというので、「山守(やまもり)」の山林管理の技術力を感じます。