醤油の知識

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諸味の攪拌と汲み水と粘度の話

右:仕込みたて/中:攪拌少ない/左:攪拌多い

醤油の仕込み教室

奈良県の片上醤油の片上さん、ご夫婦での「醤油仕込み教室」が大好評です。ペットボトルに醤油麹と塩水を混ぜてご自宅に持ち帰って、それぞれのご家庭で発酵熟成させる。そして、一年後にまた集まって搾り作業。さらに翌年分を仕込むというのを何年も繰り返しているそうです。

特に夏場は産膜酵母を大量発生させないために定期的にかき混ぜてくださいという注意事項があるのですが、「ちゃんとかき混ぜていましたよ!」という参加者に対して、「いや、ちょっとさぼっていたな!笑」というのはすぐに分かってしまうものらしいです。

「たくさん混ぜると諸味はドロドロになるんですよね」と片上さん。「逆に、攪拌の頻度がすくないとシャバシャバな諸味なんですよ」。そんな違いがあるんですね、と驚いていると、さらに興味深い話をしてくれました。

汲み水と微生物の動き

「汲み水の量、つまり、塩水を入れる量によっても諸味の粘度は変わりますよね」。麹の量に対して塩水量が多くなれば諸味はシャバシャバになるし、塩水量が少なければドロドロの状態になります。「それによって乳酸菌と酵母菌の動き方が違うように感じるんですよ」と片上さん。

粘度が低い(シャバシャバ諸味)の場合は乳酸菌が好む環境で、粘度が低い(ドロドロ諸味)の場合は酵母菌が好む環境なのだとか。「うちの場合は淡口醤油は13水(麹の量に対して130%の塩水)で仕込むのですが、これは他の醤油に比べて塩水量が多いんです。そのままだと酵母菌が活発になってしまうので、寒い時限定で仕込みをしています。温度で酵母菌の活動を抑え込んでいるです」。

片上醤油の片上裕之さん。醤油を語らせたら、止まらない!