醤油の知識
072|「生成り、」の火入れ
更新が長いこと空いてしまいました。
すでにご存知の方が多いと思いますが2月の上旬に岡本醤油の皆さんや万太郎さんに手伝ってもらい、最初の圧搾を行いました。その時の様子は、こちらで万太郎さんがまとめて下さっています。
▼ ミツル醤油の初搾り
https://www.s-shoyu.com/howto/column/029.html
圧搾が終わり、2年以上かかった醸造工程が終わり、残りは火入れと瓶詰め。
醤油つくりの要点として、「一麹、二櫂、三火入れ」という言葉がありますが、まさに最後の重要な仕上げです。一般的なイメージとして、火入れ=微生物の殺菌や酵素を失活させる。という事を想像されると思いますが、醤油の火入れは、香り・味・色にも大きく影響を与えます。
これまで管理してきた2年間も、火入れを失敗したら台無しに…。
なので、沢山の先輩方に相談しながら火入れ条件を決めました。
下の写真は、搾った生しょうゆを火入れタンクへ移しているところです。タンクの中でぐるぐると円を描いている配管の中を、蒸気が通り抜けることで醤油を加温していきます。
斜めに入っているシャフトは撹拌機です。撹拌しながら少しずつ加温していきます。
火入れによるアルコールの欠減を最小限にするため、蓋を作って密閉できるようにしました。(完全ではありませんが)また、急冷できるように配管もいじりました。
火入れ後、どんな醤油になるか不安でしたが、自分としては今の火入れの程度に、けっこうしっくりきています。ただ、まだやり始めたばかりなので、麹作りや諸味の管理と同じように、火入れの条件も色々と試しながら自分で最良の条件を見つけていかなければいけません。
毎回、風味が違うかもしれませんが、僕の成長のため、どうかご了承くださいませ。笑
1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。
ミツル醤油醸造元
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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