醤油の知識

醤油ソフトクリーム

キャラメルを連想させる醤油ソフトクリーム

工場見学ができる醤油メーカーが増えていますが、そこで「醤油ソフトクリーム」を見つけると、ほぼ必ず食べてしまいます。子供の頃からのソフトクリーム好きというのもありますが、みたらし団子やキャラメルを連想させる味わいは純粋においしいと思います。そして、その開発ストーリーを聞いていると、いくつかの共有点があって、醤油が抱えるジレンマがそこにあるようにも感じるのです。

「醤油の味わいをしっかり感じる」ポイント

醤油ソフトクリーム。その商品開発の様子を想像してみてください。条件を変えてつくった醤油ソフトクリームを、いくつも並べて試食をすると思うのです。醤油の種類を変えたり、醤油の量を変えたり。そして、何人もの意見を集めながら、このあたりがいいよねとポイントを絞っていく。そして、ここで問題になるのが、「ソフトクリームとしておいしい」ポイントと、「醤油の味わいをしっかり感じる」ポイントが違うという問題です。

ここがピタリと一致することは少ないと思います。「ソフトクリームとしておいしい」ポイントは、醤油が入っているかどうか分からないくらいくらいの、まさに隠し味として使うくらいの感覚だったりも。醤油の主張は控えめ。じっくりと神経を集中させると、そう言われれば醤油が入っているかもしれないというレベルの時もあるかもしれません。

でも、「醤油ソフトクリーム」と打ち出すからには、醤油が入っているというインパクトも欲しいわけです。醤油の味を期待されているのも分かっているので、「確かに醤油が入っている!おいしいね」という感覚をつくりたい。このバランスが難しいわけです。

醤油メーカーの個性を表していることも

いくつかの醤油ソフトクリームを食べ比べてみると、「これは醤油が控えめだな」「こっちはすごく醤油がガツンとくるな」と、味わいが様々。きっと開発過程でいろいろな話し合いがあったんだろうなと想像してしまいます。醤油を抑え気味にするか、しっかり主張させるか、微妙なさじ加減ですが、どちらの方向性を選択するかがその蔵元の特徴を表していたりもすると思います。