醤油の知識
刺身醤油(さしみ醤油)に定義はなくて、地域によって様々な味わいがあります。
やはり、さしみ醤油は魅力的ですよね
醤油を使う用途として真っ先に思い浮かぶものの一つが刺身だと思います。職人醤油の店頭でも「おすすめの刺身醤油は?」「そもそも、さしみ醤油って何?」という刺身に関する質問はとても多いです。
ただ、刺身醤油に明確な定義はありません。それぞれの醤油メーカーが商品名として名乗っているのが実情です。
①うま味の多い濃厚な醤油の商品名として
多くの醤油メーカーは10種類以上の商品ラインナップを持っています。たくさんある醤油の中で刺身におすすめしたいものを刺身醤油(さしみ醤油)としているのが一つめケースです。
醤油の場合、うま味成分が多いものほど販売価格が高くなる傾向があります。例えば、「超特選丸大豆しょうゆ」などの「超特選」などは、うま味成分が一定の水準以上に含まれているなどの基準が決まっています。
そのため、それぞれの醤油メーカーが、自社の自信のある醤油を「さしみ醤油」という商品名にしたり、再仕込み醤油や溜醤油などの製法の異なる濃厚タイプをそのように呼ぶ場合があります。
②刺身にあわせて加工している醤油
刺身にあわせて出汁や甘みを加えるなど、専用に調整をしているのが二つめのケースです。
和食の飲食店などが、みりんなどを加えた煮切り醤油を刺身に添えていたりすると思います。それと同じように、刺身にあわせやすくするために醤油のしょっぱさを抑える加工をしたり、地元で獲れる魚にあわせて出汁や甘みを加えるなどの加工をした醤油を「さしみ醤油」としている場合があります。
③地域に定着している「さしみ醤油」ジャンル
代表的なのは九州です。甘みととろみをつけた醤油が「さしみ醤油」として一つのジャンルになっています。
九州は元々甘みのある醤油が好まれる地域ですが、甘みのついた濃口醤油、甘みのついた淡口醤油、そこにさらに甘みととろみを加えた「さしみ醤油」が各家庭にあって、用途に応じて使い分けているというケースです。特に、鹿児島のさしみ醤油はとても甘く、多くの地元メーカーが「さしみ醤油」を扱っています。
刺身の種類によって、醤油を使い分けるのがおすすめです。
さしみ醤油のあり方も変わってくると感じています。今までは一つの醤油で刺身全般にあう醤油が推されてきていますが、繊細な味わいの白身の刺身と、上品な脂がのった赤身の刺身とで相性のよい醤油は異なると感じています。
スイカに塩をかけると甘くなる原理と同じように、繊細な素材を味わうには淡口醤油などのうま味は抑えて塩味を高めた醤油の方があうと思います。一方で、素材にしっかりとした味わいのある魚には濃厚な醤油が合うはずです。
魚の鮮度と質がどんどん向上しているので、その素材を最大限に活かすための醤油の位置づけも変わってきているように感じています。
考え始めると、刺身と醤油の無限の組み合わせの広がりに呆然としてしまいそうです。あまり難しく考えずに、醤油が変わると刺身の味わいが変わって面白い!くらいのスタンスで気軽に試してみてください。意外なほど感じ方が変わると思います。
ただ、鮮度の落ちた醤油は控えた方がよいです。開栓をして数カ月たった醤油は色が濃くなり風味が落ちています。せっかくの新鮮な刺身も、酸化してしまった醤油が台無しにしてしまうことも。
まずは新鮮な醤油を使う。そして、種類の異なる醤油を使い比べてみる。というのをおすすめしたいです。
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醤油の種類
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素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
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美しき京料理に必須
淡口醤油
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甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
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大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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