醤油の知識
木桶の数
醤油を仕込む木桶は、とても少ない
昔の日本の生活には、桶が溢れていたと思います。洗濯桶、風呂桶、ごはんのおひつなどをはじめ、液体の保管や輸送にはたくさんの桶や樽が使われていました。
醤油を仕込む木桶はその中でも大型なもので、高さ2~4メートルほどあって大人が10人以上入れるサイズです。ただ、昔でこそ主流な容器でしたが時代と共に減少の一途をたどり、木桶仕込み醤油の流通量は全体の1%ほどとも言われています。
福留奈美先生による調査結果
現存する木桶のほとんどが小規模メーカーの保有であるため、正確な統計データがありませんでしたが、東京聖栄大学の福留奈美先生による調査結果が発表されました。
全国の醤油メーカーを対象にアンケート調査をされているので、かなり正確な数字だと感じています。
・北海道・東北地方 6県39社 290本
・関東地方 6県35社 877本
・甲信越・北陸地方 5県34社 341本
・東海地方 4県30社 765本
・近畿地方 5県32社 399本
・中国地方 4県52社 532本
・四国地方 4県21社 1210本
・九州地方 5県38社 351本
木桶仕込み醤油の魅力
●クラフトビールのような多様な個性
醤油をつくる木桶は高さ2~3m、直径2~4mほどで、100年以上使うことができます。そして、木材の表面の微細な構造に微生物がすみつき、独特の生態系をつくりあげています。
これが木桶の最大の特徴で、百年を超える歴史の積み重ねや気候風土に応じてオリジナルな微生物の個性が、その蔵元にしか出せない風味や味わいを醸しています。
●自然がつくる味
木桶は鉄釘や接着剤を使わずに自然の素材でつくられた容器です。発酵環境は、人工的な温度コントロールではなく、四季の温度変化による「天然醸造」。
寒い時期に仕込み作業が行われ、夏にはぷくぷくと発酵がはじまります。春夏秋冬によって、湿気が多ければ吸収し、寒い時には保温する。木桶はその表情を変えながら醤油に適した環境をつくります。
●時間がつくる味
木桶の寿命は100年~150年といわれ、何世代に渡って使い続けられています。現役で活躍している桶の多くが明治~昭和の初期につくられたもので、その木桶を有する醤油蔵はさらに長い歴史を刻んでいます。
木桶の素材は杉であることが多く、その育成には数十年を要します。さらに、奈良県の吉野杉のような良質な材木の育成には、山づくりから行う必要があり、そう考えると数百年に渡る先人たちの積み重ねがあることが分かります。
●人がつくる味
日々、異なる表情を見せる諸味。その年によって出来栄えも変わります。「いつも違うから、いつも心配…」「木桶を信じて任せています!」「手はかかるけど、その分、楽しい」と蔵人の接し方は様々。
繊細な蔵人は手をかける頻度が多くなり、大胆な蔵人は新たな製法に果敢にチャレンジをする。醤油の味わいは蔵人の性格に似てくると言われています。ただ、共通するのは自分たちがおいしいと感じる醤油をつくること。より個性を活かすために木桶が見直されています。。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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