醤油の知識

099|3年目のうすくち

7月の上旬、今年の1月に仕込んだ「うすくち」を搾りました。
ちょうど仕込みから6カ月ですが、とくに何ヶ月で搾るという事は意識してなく、酵母の発酵が落ち着いてきたらという感じです。

ただ、今年の場合は在庫が無くなる事が予測できていたので、発酵初期の櫂入れを増やして早いタイミングで搾れる状況にしました。



今、うすくちは年2回の圧搾で、次は12月予定です。これから温度が下がっていくとは言え、5か月違うと色も進みます。なので昨年もそうでしたが、12月の搾りでは甘酒の比率を増やします。夏の搾りと同じまでは難しいですが、ある程度調整できます。

ただ、来期からはうすくちの仕込み量を増やす予定なので、将来的には甘酒の比率だけでなく温度制御などの対策も考えていかないといけません。

にしても濃口の方はまだ2014年仕込みのを1度も搾っていないのに、うすくちは2014、2015と終売で2016まで搾り始めているという‥。

うすくちも色が着いたら商品価値が無くなるという意味での難しさはありますが、単純に製品化までの期間が短い事や、うちのように仕込み場のスペースが狭い所は、桶が空くのに3年はかかる濃口より、翌年の仕込み時期には空になっているうすくちはとても効率的だなと感じます。

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元