醤油の知識
醤油のつくり方
①原料処理
醤油の基本原料は大豆、小麦、塩。大豆は蒸して、小麦は炒って砕きます。カチカチの原料をほくほくにして、微生物が醸しておいしさに変化しやすいようにします。
大豆の代わりに、流通している多くの醤油は脱脂加工大豆を使っています。これは大豆から油を抜き取り醤油づくり用に加工したものです。稀に、「搾りかすからつくられた醤油」と言う方がいますが、それはちょっと言い過ぎだと感じています。
②麹づくり
約3日かけて麹菌を繁殖させて酵素を生み出します。この工程の良し悪しが品質に与える影響度が高く、特に重要視されています。
蒸した大豆と炒った小麦に種麹を加えて繁殖させます。麹菌が繁殖しやすい温度と湿度を調整することが職人の仕事。麹菌は自らが成長するために発する熱で死んでしまいます。温度が高すぎても低すぎてもだめで、定期的にほぐして空気を送り込みます。どのつくり手も真剣。
③発酵・熟成
麹と塩水を混ぜたものが諸味(もろみ)です。最も長く時間を要するのがこの工程で、乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。
諸味の見た目は水分の多い味噌のような状態。人工的に温度調節できる環境で6ヵ月程度、四季の温度変化にゆだねる場合で1~2年熟成させます。職人は撹拌(かくはん)という作業で微生物の働きをサポートします。
麹菌がつくり出した酵素の力によって大豆のたんぱく質がアミノ酸に、小麦のでんぷんがぶどう糖に変化し、醤油のうま味や香りの成分になっていきます。
④圧搾
諸味を布に入れて搾ります。醤油と搾り粕に分離させる基本構造は大手も小規模メーカーも同じ。ただ、袋に入れたり風呂敷状のろ布で包んだりと方法は様々です。
均等に何十段と重ねていく繊細な作業。しばらくすると醤油のしずくが滴り、よい香りが漂います。一気に搾りたい気持ちを抑えてゆっくりじっくりと。3日~7日程度時間をかける工程です。
⑤火入れ
搾った生揚醤油に熱を加えます。微生物を失活させて、色を調えて醤油独特の香りづけをします。火香(ひが)をつけるともいわれ、これも職人の技術を要します。
最近よく目にするようになってきた生(なま)醤油はマクロフィルターで微生物を除去し、火入れと同等の状態にしています。稀に蔵本併設の売店で微生物の生きている醤油が手に入ることがある・・・かも。
⑥ビン詰めをして完成
余計な雑菌などが入らないように細心の注意をして瓶詰め。ラベルを貼って完成です。機械によるオートメーションの場合も、最初から最後まで手作業で行っているところまで様々です。
ラベルもシールなのか紙をのりで貼っているかによる違いもありますが、これらの工程は女性が担っている蔵元が多いもの。ここで活躍する女性が元気だと、よい蔵元である場合が多いような気がしています。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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