醤油の知識
095|再仕込みの諸味管理
今販売している、「生成り、再仕込み」は2010年に仕込んだ醤油を原料(生醤油)として使い、2013年に仕込んで昨年圧搾し、製品になりました。生醤油を加水せずに汲水として使用し、濃口の時代から数えると、諸味で5回の夏を越えた醤油です。
ただ、正直に言うと、今販売している再仕込みは自分の中ではあまり納得のいってないもので‥(じゃあ、売るなよ~という話なのですが‥。それはまた難しい部分で‥。)
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まぁ、そんな事もあって、今年の再仕込みはいつも以上に気持ちが入っています。
前回は諸味でトータル5回夏を越しましたが、今回はトータル2回です。
つまり、昨年仕込んだ1年の諸味を搾って、その生醤油に昨冬麹を仕込み、今年の秋に搾る予定です。生醤油を加水せずに使うというのは今回も一緒です。
2010の再仕込みは、諸味期間が長いだけあって、見た目は色も濃く粘性もあるので、濃厚な印象ですが味わいは見た目からすると、「あっさり」した印象。やはり、諸味期間があまりに長いためグルタミン酸のピロ化(グルタミン酸がピログルタミン酸に変わることで旨味が減少する。)が進んでいます。
もちろん、グルタミン酸だけが醤油のおいしさの指標ではないですし、2010の再仕込みも香りはこれだけ長期間でもいい状態ですし、味の成分も複雑で後味が綺麗に酸味で切れる感じも、それはそれでいい個性だと思っています。
ただ、僕が最初に描いていたイメージが、もっと旨味のボリュームがある感じだったので、結果とはギャップがあったという事です。
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今回は、前回の経験からグルタミン酸の量も気にしていますが、それともう一つ、できるだけ糖分も残したいと思っています。 「旨味+程よい甘味」 が自分のイメージする再仕込みのいい味の膨らみ。かな? と想像しています。
なので、1年の生醤油を使ったのも、もおちろんグルタミン酸の消失が少ないのもありますが、残糖が多いというのもあります。そして、今まさに諸味の酵母発酵の最盛期ですが、この再仕込みに関しては酵母の発酵を抑えるように意識して管理しています。(残糖を多くするため)
6月初旬までは、酵母の発酵の兆しがありませんでしたが、さすがに6月下旬現在はようやく湧いてきました。
思い通りになるのか分かりませんが、結果が楽しみです!
6月初旬
6月下旬
1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。
ミツル醤油醸造元
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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