醤油の知識

026|盛り込み(1-1)

いよいよ本格的な仕込み作業(麹作り)の1日目。
ざっくりとした作業工程は、大豆を蒸す → 小麦・種麹・大豆を混合する → 室へ入れる。
という流れです。 この室へ麹を入れる作業を「盛り込み」と言います。

前日、浸漬した大豆。水を抜いてから蒸煮を開始します。

蒸煮は、蒸気が上に吹き抜けて3時間で蒸しあがり。


その間、岡本さんと徹夜で炒った小麦を砕きます。
これはミルトン号という小麦を砕く機械。


学生の時に行った、石川の鳥居醤油さんで使用されていた物と同じタイプ。
性能も良く、キャスターで移動もできて便利。
なので、その時からこれだな。 と、決めていた思い出深い装置です。


割砕した小麦 粗めに砕きました。
(麹箱の下面がメッシュなので粉が落ちる。というのと、大きく砕くことで麹中の空間を大きくして熱が逃げやすいように。)

吹き抜けから3時間経過して、大豆の蒸煮が完了。



大豆の掘り出し。
FRPのパレットの上に広げて、温度を下げます。


少し温度が下がったところで、小麦を投入。

これは種麹(麹菌の胞子)を、細かく砕いた小麦に混合しています。
(均一に分散しやすいように)
ちなみに今回使った種麹は、ヒグチモヤシのスリーダイヤ。

品温が37℃になった所で、種麹を振りました。
(外気にさらした状態で混合し、麹室へ運ぶ時間もあるので高めの温度で接種)

そして、均等に種麹が行き渡るように混合し、オレンジのザルで麹室へ

これを麹箱に移します。

岡本さんと僕で、箱に丘状で盛りました。


箱によって微差はありますが、盛り込み完了後の品温30~31℃ 室温30℃
ちなみに室を加温する熱源はストーブです。

すべてが初作業で不安だらけでしたが、岡本さんが指揮をとってくださり順調に作業が進行しました。

何を聞いても、即座に返ってくる。
本当に心強かったです。

城 慶典 (ミツル醤油醸造元)

1984年生まれの醤油職人。
高校生の時に自社での醤油醸造の復活を志して東京農業大学 醸造科学科に入学。入学後、「学校に通っているだけでは自分の求めるものは得られない。」ということに気づき、伝統的製法による醤油造りを続けられている醤油蔵を探し、卒業までに7つの醤油蔵で短期間の研修を受け入れて頂く。卒業後、岡本醤油醸造場にて一年間の研修。その後、JFCS(ジャパン・フードコーディネーター・スクール)で一年間学び2009年6月より、実家であるミツル醤油へ入社。2009年11月 夢である醤油造りの復活と、地元・糸島を全国に発信したい。という思いをリンクさせ具現化する、社内別ブランド「itosima terroir」(イトシマ テロワール)をスタート。

ミツル醤油醸造元