醤油の知識

大好物醤油の誕生物語②

そして、「醤油蔵に一緒に行きましょう!」と提案しました。そう決まれば、どこに連れていくかが悩みどころですが、そうは言っても忙しいメンバーたち。どうにか1泊2日の日程が見つかりましたが、都内からの移動を考えると、1日1蔵の訪問だけで終わってしまう可能性もあります。どうにかして、様々な個性の蔵を複数見てもらう必要があると感じていました。

考えたルートは、小豆島から兵庫へ渡るプランです。朝一で東京を出発し、高松空港経由で小豆島へ向かいます。昼過ぎに到着して、そのままヤマヒサさん、正金醤油さん、マルキン醤油さん、ヤマロク醤油さんを訪問。その日のうちに兵庫県へフェリーで移動し、翌日に末廣醤油さんと足立醸造さんを案内するというコースです。

小豆島は醤油蔵が密集しているため、連続で訪問するには最適な場所ですが、フェリーの時間が制約となります。少しでもスケジュールが遅れると、最終的にフェリーに乗れなくなるリスクがありました。そのため、質問が重なって熱気を帯びている雰囲気の中、「そろそろ次に行かないと…」と何度も声をかけ、次の訪問先へと誘いました。

全ての工程が終わった帰り道。「どうでした?」と尋ねると、小泉さんは「すごくよかったです!特に生産者の個性が魅力的すぎました。そう考えると、自分たちが提案していたアイデアは、その個性を考えていなかったように思います。もう一度、考え直してみようと思います」と、東京へと戻っていきました。

その後、再び博報堂本社に招かれる機会が訪れました。蔵訪問を共にしたこともあり、今回は前回よりもリラックスした雰囲気の中でプレゼンがスタートしました。説明されたのは「大好物醤油」のアイデア。100mlの職人醤油のオリジナルラベルはそのままに、さらに素材や料理のイラストを配したパッケージを加え、蔵元それぞれの個性を生かしながら選ぶ際の情報を絞り込むというものでした。

全部を聞き終わる前に、「あ、ちょっといいですか。これ、いいです。やりたいです」と割って入っていました。

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