醤油の知識
丸大豆と脱脂加工大豆
丸大豆と脱脂加工大豆
商品ラベルの原材料欄をみると「大豆」もしくは「脱脂加工大豆」と書かれています。
大豆から油分を抜いたものが脱脂加工大豆と呼ばれ、これに対して、丸のままの大豆ということで丸大豆という表現があります。そのため、丸大豆という品種があるわけではありません。
流通している醤油の8割は脱脂加工大豆
「脱脂加工大豆は大豆の搾りかすだ!」という意見を時々耳にしますが、少し言葉が過激だなと感じています。
現実として、国内の約80%の醤油が脱脂加工大豆からつくられています。また、醤油のうま味は全窒素分などの数値で計ることができるのですが、丸大豆よりも脱脂加工大豆の方がうま味の高い醤油をつくることができます。
生産効率のよい脱脂加工大豆
脱脂加工大豆による醤油の生産効率はよく、うま味の高い醤油がつくれるのですが、油を搾る工程でヘキサンという溶剤が使われています。これが脱脂加工大豆を敬遠される方の意見だと思います。安全性は確認されていると言われますが、それらを含めてどの原材料を使うかが生産者の考えによるところだと思います。
脱脂加工大豆が生まれる背景
大豆の国内需要は約400万トンです。その内訳をみると豆腐や納豆や醤油などそのままを食す用途で使われているものは約100万トンで、残りの75%にあたる300万トンが大豆油目的に使われています。
大豆は約20%の油分と約35%のタンパク質で構成されているので、油を搾った後のタンパク質を、醤油が作れるように加工したものが脱脂加工大豆です。
[圧ぺん]:温度、水分を調整して脱皮、圧ぺんする。効率的に油分を溶かし出すため、平らに押しつぶして大豆の表面積を拡大。
[抽出]:ヘキサンに浸潰させ、油分を溶出。油分を多く含んだヘキサン溶液をミセラと呼びます。
[粗油回収]:ミセラと圧ぺんした大豆を分離した後、ヘキサンを蒸発させて除去。
[精製]:脱酸、脱色、脱ロウ、脱臭工程を経て、不純物や有害物質が取り除かれて精製油がでる。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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