醤油の知識
おいしい醤油の選び方
醤油にはたくさんの個性があります
「おいしい」を定義することは、とても難しいと感じています。人によって味覚は様々ですし、どのような環境で食べるのかによって、感じ方は様々だからです。
ただ、「醤油をそのままなめた時」のおいしさと、「素材とあわせた時」のおいしさは違うはず。さらには、刺身をたべる時、赤身と白身の刺身とでそれぞれ相性のよい醤油があるような気がしています。
6種類で醤油の味比べをしてみると
職人醤油では醤油を6種類に分類をしているのですが、醤油セミナーを開催したときのアンケート結果が以下です。醤油をそのままなめていただき、第一印象でおいしいと感じた醤油=〇/苦手だと感じた醤油=×を集計したものです
バラバラな結果になります
結果をみると、一つの醤油に人気が集中することはなくバラバラになります。参加者の方もいつも驚かれるのですが、大抵はこのような結果になります。人の味覚が千差万別ということを実感するのですが、中でも面白いのはある一つの醤油に対して、ある方は一番おいしいといい、ある方は一番苦手だといいます。同じ醤油でも人によって評価が正反対なのです。
まず6種類の味比べからはじめるのがおすすめです
左の醤油ほど色が淡くて塩味を感じ、右の醤油は色が濃くてうま味が強くなります。白ワインと赤ワインとで相性のよい素材があるように、醤油の特徴と相性のよい素材があるように感じます。
例えば、塩やレモンをかけて食したいような素材に塩味の強い醤油を使うと素材そのもの魅力を引き立ててくれます。白身の魚や煮物やお吸い物などです。一方で、ステーキやマグロの刺身などには熟成期間が長く濃厚でうま味の多い醤油をあわせると、一体感としての相性のよさを感じます。
例えば、豆腐を例にすると
豆腐を「おいしい豆腐」と「普通の豆腐」に分けるとします。
「おいしい豆腐」=大豆の味がしっかりしているとか、大豆の甘みを感じるような豆腐とすると、この豆腐には淡口醤油がおすすめです。
スイカに塩をかけると甘く感じるように、豆腐の繊細なおいしさをより引き立ててくれます。ここに濃厚な醤油をかけてしまうと、すべてが醤油の味になってしまいます。
普通の豆腐には濃厚な溜醤油を
一方で、普通の豆腐には濃厚な醤油がおすすめ。醤油のうま味を前面にだして豆腐の一体感で味わうことができます。
あくまでバランスです
このように、そのままなめた時においしい醤油が、素材にかけてもおいしいとは限らないですし、うま味が高い醤油が万能においしいとも限らないと思います。
あくまで素材とのバランス。醤油の特性を知っていただくと、おいしさの幅が広がると思います。
原材料の違いによるおいしさ
脱脂加工大豆やアルコールが含まれる醤油=悪い醤油といわれることがあります。ただ、単純にうま味成分の値で比較すると、丸大豆より脱脂加工大豆の方がうま味の高いものがつくれます。
また、白カビ防止が目的なら、塩分濃度を高めればアルコールを添加する必要はなくなります。
原材料の違いは、醤油の味わいの特徴になりますが、それだけで良い悪いを判断することはできないと感じています。
大手メーカーと伝統製法
伝統的な製法でつくられた醤油=〇で、大手メーカーが大量生産する醤油=×という区分も違うと感じています。
大手メーカーの醤油は常に平均点をきちっと取ることを目指して、さらに平均点自体を上げる努力をしています。伝統製法の醤油は平均点の上もあれば下もあり、多様性があることが特徴です。
製法だけで○×を付けられるものではないと感じています。
醤油の知識ランキング
醤油の種類
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素材を活かすNo.1選手
白醤油
淡口よりさらに淡い琥珀色の醤油。料理好きな方に高い人気。お吸い物や茶碗蒸しなどに。
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美しき京料理に必須
淡口醤油
西日本でお馴染みの淡い色の醤油。素材の彩りや出汁を活かしたい料理に。塩やレモン代わりにかけても。
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甘みをつけた地醤油
甘口醤油
九州や北陸などでは一般的な存在。海沿いの地域ほど甘みが強かったり、それぞれの土地に根ざした醤油。
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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