醤油の知識
醤油のうま味・全窒素分との関係
うま味を数値化する全窒素分
醤油のうま味は全窒素分の数値で計ります。この数字が大きいほどうま味成分が多い醤油となりますが、この数字は一般家庭向けの商品に記載されることはないので目にする機会は少ないと思います。
ただ、超特選醤油や特級醤油などの規格を決める指標になっていますし、醤油メーカー同士や食品加工メーカー向けの業務用醤油では「全窒素分●%の醤油がほしい」など、求める醤油を規定する数字としてよく使われています。
醤油の種類毎の全窒素分
醤油の種類毎の特級の全窒素量をまとめたのが上の図です。白醤油や淡口醤油は全窒素量が少なく、再仕込醤油や溜醤油は多くなっています。この並びの左から右にいくにつれて熟成期間も長くなり、うま味成分も多くなる関係性があります。
左側は熟成期間が短くうま味成分が少なく、そのまま舐めるとしょっぱく感じます。ただ、素材を活かすのはこちら側でお吸い物や煮物に使われます。一方で右側は熟成期間が長くうま味が多くなるので醤油の色や風味を加えたい素材はこちらの方が適しています。お刺身の場合だと、白身には淡口醤油で赤身には再仕込醤油の人気が高いです。
窒素が高くなってきている
昭和13年の資料をみると濃口醤油の1等級が1.00~1.25%、3等級だと0.50%以上という表記があります。現代の醤油のつくり手からすると全窒素量0.5の濃口醤油は想像もできないほどのうま味の少ない醤油のはずです。これは製造技術の発展の成果であり、今の醤油は昔と比べるとはるかにうま味の高い醤油がつくれるようになってきているともいえます。
窒素が全てではない
全窒素分が高いほどうま味があるとされますが、それがそのまま口に入れた時に舌が感じるおいしさとは完全一致しないのも面白いところです。特に木桶仕込みの醤油は比較的全窒素分が高くでにくいのですが、口にするととてもおいしく感じたり、逆に窒素の高い醤油でもその数値ほどおいしく感じないものもあります。
醤油はうま味のほかに塩味、甘味、酸味、苦味などの成分が複雑に溶け合っています。それらのバランスがおいしさを形づくるので、うま味が高いもの=おいしいとは一概にはいえないと感じています。ただ、相対的にうま味が高いものはおいしい醤油である場合が多いとは言えると思います。
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醤油の種類
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白醤油
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美しき京料理に必須
淡口醤油
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甘口醤油
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幅広く使える万能醤油
濃口醤油
一般的な醤油で流通量の8割はこれ。新鮮なものは綺麗な赤褐色で、北海道から沖縄まで各地で生産。
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濃厚なうま味とコク
再仕込醤油
熟成期間の長い濃厚な醤油。味と香りのバランスがよく、刺身やステーキにまずお試しいただきたい。
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濃厚さとうま味はNo.1
溜醤油
大豆を多く、仕込水を少なくし、うま味を凝縮。ハマる方はとことん好きになっていただける醤油。
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醤油のつくり方
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1
原料処理
カチカチの材料をほくほくにしたり、溶かすことで、菌が材料を醸し、美味しさに変化しやすいようにします。
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2
麹づくり
醤油づくりで一番重要視されている工程です。種麹を原材料に混ぜて、麹菌を繁殖させることで酵素を生み出します。
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3
塩水
麹に塩水を加えて諸味をつくります。塩分濃度を高めることで雑菌から守り長い発酵熟成の時を迎えます。
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4
諸味
ゆっくりと乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を醸します。どろどろの味噌のような状態で、半年~三年の時を過ごします。
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5
圧搾・火入れ
諸味を布に入れて、圧力をかけて圧搾し、火入れとろ過をします。殺菌と香りを引き立てる火入れも技術が必要です。
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6
完成
ビン詰めされてラベルを貼ってようやく完成。長いものだと原料処理から二~三年かけて醤油になります。
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