醤油を楽しむレシピ集
平川弁当vol.3
2023年になりましたね。新しい年の目標をたててから1月も折り返してしまいました。
松屋銀座店は海外のお客様が増え、日本語と変な言語を駆使して日々接客をしております。外国の皆様が英語のシートを見ながらお醤油を選んでくださり、大切に持ち帰る瞬間は職人さん達が丹精込めて作った商品が飛行機に乗って海外の食卓に並ぶんだなぁと大変嬉しくなります。
昨年末から年始にかけて松屋銀座店にはお正月を迎えるにあたり、たくさんのお客様がいらしてくださいました。家庭でのお醤油の需要が増える時期なんだと日本人の伝統的なならわしが継続している事を実感しました。
四季折々の旬の食材が手に入る松屋銀座の店舗で、ご来店いただく皆様と商品の味わいを共有したり、皆様の貴重な感想を自分の言葉で繋いでいけるよう、お醤油に親しむ一年にしたいと思います。
平川弁当12選(2022年1月から6月)前編
2022年に撮り溜めたお弁当を遡って数えたら150食位ありました。パンやお菓子等、醤油や取扱い商品を使用した数を含めると一年の半分以上お醤油を使った料理写真が残っていました。
Twitterで毛利店長とお弁当の会話をして短い文章に纏めてもらったものを振り返りながら昨年のお弁当をご紹介します。
1月のお弁当
・長ネギの豚ばら肉まき【溜】(宝山丸大豆たまり/中定商店(愛知県)
旬の長ネギを豚肉で巻く→片栗粉をまぶして焼く→キッチンペーパーで油を拭き取る→溜醤油で味付け(再仕込醤油でも合います)
・がんもどき入りのひじき煮【甘口】(いなか醤油/畑醸造(富山県)
ごま油と醤油で味付け(甘口醤油を使うと砂糖を使わなくて良い)
・ふんわりしっとり卵焼き【白】(有機白醤油/七福醸造(愛知県)
白醤油は卵3個に対して小さじ1、きび砂糖を小さじ2の黄金比
※お弁当の時は出汁を使わず素材の味を引き立てるシンプル調理(時短にもなる)
2月のお弁当
・春を感じる芽キャベツの豚ばら肉巻き【溜】(宝山丸大豆たまり/中定商店(愛知県)
・小松菜のおひたし【再仕込】(新桶初搾り/ヤマロク醤油(香川県)
・ごぼうのきんぴら【甘口】(いなか醤油/畑醸造(富山県)
・ひじき煮【甘口】(こいくち甘露/吉村醸造(鹿児島県)
※ほぼ醤油のみの味付け(ごま油と味醂が登場するくらい)、100mlサイズの瓶はお弁当を作る時小型軽量なのでほんとに助かります。3月のお弁当
・ピンクの削りかまぼこを巻いた卵焼き【だししょうゆ】大久保醸造店(長野県)
・厚揚げのサイコロ焼き
厚揚げをサイコロ状に切る→片栗粉を塗す→ごま油で焼く→濃口醤油で味付け
・ひじき煮や紫のブロッコリーは作り置き
三温糖と濃口醤油・淡口醤油でそれぞれで味付け。
4月のお弁当
ミツル醤油(福岡県)3本使い分けを楽しむ弁当
ミツル醤油さんの3種類のお醤油はセットでプレゼントやご自宅で揃える方もいらっしゃいます。
・菜の花のおひたしと卵焼き【淡口】
おひたしは醤油洗い、卵焼きは三温糖と醤油で味付け
・ベビーホタテの醤油焼き【濃口】
ごま油で焼く→すりおろし生姜と醤油で味付け
・長ネギと豚ひき肉の肉団子【再仕込】
お酢と合わせて中華風に。
※再仕込はお酢やバルサミコ酢との相性が良いのでぜひ使ってみてください!
5月のお弁当
・玄米ブレンドの焼きおにぎり【たまり】山川醸造(岐阜県)
みのびは味噌煎餅のような味わい、香りツヨシな個性派です。
・合鴨ロースのグリル【再仕込】ミツル醤油(福岡県)
合鴨には味わいのコクや旨味のある再仕込醤油がおすすめです。ゴールデンウィーク(連休)や週末休めないお仕事ではありますが、陽気の良い5月はお弁当を持って出かける機会が多かったです。
※焼きおにぎりはお米の水分が蒸発するので普通のおにぎりを持ち歩くより安心です。
6月のお弁当
・鯖じゃがちぎり大葉のコロッケ【木桶醤油&酢のSABA缶】
じゃがいもをマッシュ→鯖缶の半量を一口大より小さめに混ぜる→大葉をちぎって混ぜる→コロッケの形にする→小麦粉→卵液→パン粉の順に纏わせる→揚げる
「みんなの食プロジェクト」さんが手がけている鯖缶。
弓削多醤油(埼玉県)木桶仕込み有機醤油と庄分酢(福岡県)木桶仕込み酢を使っています。
※鯖缶はわざわざ買うほどでも無いと手を出さないわたしですが、この鯖缶は違います。わざわざ料理のために買う物と印象付けられました。魚臭さは消えており、とにかく鯖がお見事!そして汁は捨てたらもったいない。余す事なく使い切ってください。
今年は和食文化や発酵食品の興味関心から知識になるように皆様と共に学んで行きたい
私の料理は今ではノンレシピが多いです。お料理はレシピを参考にして日々作り、うまくいったり、失敗すればいいと思っています。
レシピを見て作っても、ゆで卵を例に取った場合、火力や鍋の熱伝導の加減、冷蔵庫から出してすぐか、常温かで仕上がりは違います。自分で味見したり“良い加減”でなんとかなる方がいいと思います。
そうはいかないのが食料を作ってくださる生産者さん、流通をしてくださる方々です。さらに家庭でお水がでて、火がついて、水が流れていく、ゴミは回収してもらえると言った日々当たり前と思える、生活の基盤を作ってくださる方々のお陰で料理ができるのです。
なので料理は大変、面倒くさいなんて言っていられないと思ったりします。多少めんどくさい時もあるけどお店から食料が廃棄されたり、家庭でも使わない食材が廃棄されないように無駄なく自炊したいと思います。
「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されたのが2013年、それから10年が経ったのですね。ご存知ない方もいらっしゃいますよね。私も食の勉強から学びを深めた訳です。
伝統調味料である木桶醤油は昔ながらの製法・伝統を守り抜いている蔵元さんのおかげで存続しています。
和食文化の事や発酵食品の事など、若い頃には興味がないまま時間に追われていました。今も時間に追われる生活は変わりませんが、お弁当を継続して作ることに加え、お弁当のコラムで和食の事とか発酵食品の事など、学んだ事をご紹介する活動を進めて行けたらと思っております。次回から是非ともお付き合いください。
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平川ちあき
金融機関の会社員から食の世界へ。企業のレシピ掲載・テレビCM・雑誌のweb版に食のコラム執筆。現在は職人醤油のスタッフとして、蔵元の醤油を使いひたすら弁当を作っている。https://lit.link/chiakihirakawa
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