職人醤油の蔵元
足立醸造
木桶造りのオーガニック醤油を世界に
「先代からの話で印象に残っているのが醸造という言葉なんだ」と足立さんは話します。足立醸造の醸造は自分たちの手で原料から醸していくということで、そこには徹底してこだわっていきたいというものです。そのための大きな挑戦ともいえる取り組みを3つご紹介します。
有機JAS認証の工場
足立醸造が位置するのは兵庫県のほぼ中央部、周りを山で囲まれ中央に杉原川と云う清流が流れていて山紫水明といえるような地です。車がないとアクセスが困難で、「行くのが大変だった」という声も聞こえてくる足立醸造の工場は有機JASの認証工場になっています。
この有機JAS認証は、今でこそ取得してるメーカーも多いですが、足立醸造が取得した当時は大手メーカーがほとんどで、中小メーカーは稀な存在だったといいます。周囲からも珍しい目で見られたそうですが、金沢河北潟の金沢大地が手掛ける有機大豆と有機小麦を使用した国産有機醤油を造り続けています。
プラスチックタンクを捨てる決断
醤油を搾る前の諸味を入れる容器にFRPという強化プラスチックでつくられたタンクがあります。コストと扱いやすさでこれを使っているメーカーは多いものです。過去の足立醸造にも木桶とFRPと2種類の容器がありましたが、全量を木桶仕込みにするという決心をしてFRPタンクを廃棄することにしたそうです。
そこで問題になるのが、FRPタンクがなくなった分の容器をどうするかということなのです。木桶の入手は困難でした。昔の桶の流通というのは、造り酒屋に納入された新桶が数年後に桶職人の元に戻ってきて、一度解体をして使える板同士を組み直して再び桶にしていました。それらが醤油や味噌の蔵元に運ばれていくというリサイクルの循環があったそうです。
2009年3月20日、足立醸造に新桶が納入されました。30石(約5400リットル)の大桶で高さは6尺(2メートル弱)の大きさです。大阪の藤井製桶所の先代が入手して保管されていた「高野槙(こうやまき)」から作られた桶です。高野槙は防水性に長けており桶には打ってつけの素材です。珍しく貴重な桶が納入されるとあって、そのお披露目会には関係者が多く集まりました。
木桶仕込み醤油を世界へ
2012年春、新工場が完成しました。何十年と使い続けてきた30石桶の隣に、2 万リットル以上入る120 石の大桶を設置されました。木製の桶としては最大級の大きさで、全量を丸大豆醤油に特化して半分以上はオーガニック原料にする徹底ぶり。この木桶仕込みの醤油を海外に持ち込んで、「Soy Sauce ではなく、Shoyu として認知してほしい」と、意欲満々です。
桶仕込の国産有機JAS認証醤油
価格 : 600円+税
原材料 :有機大豆(国産)、有機小麦(国産)、食塩
料理の腕が上がってしまうだし醤油
価格 : 600円+税
原材料 : 有機しょうゆ(国内製造)、風味原料(かつお節、宗田かつお節、さば節、かつお節エキス)、砂糖、食塩、みりん、いしる、(一部に小麦・大豆・さば・いかを含む)