職人醤油の蔵元
弓削多醤油
地元を大切に兄弟二人三脚で
予約不要で醤油蔵の見学ができ、醤油ソフトクリームや卵かけご飯など醤油を五感で味わえる醤遊王国。業界でも有名なこの場所には、「安心でうまい醤油」を追求していこうとする弓削多さんの決意が込められています。
醤油を五感で体感できる場所
埼玉県日高市のどかな田園風景に車を走らせると、「醤遊王国」なる建物が姿をあらわします。1階の直売店を横目に階段をあがると飲食スペースが広がり、名物の醤油ソフトクリームや卵かけご飯を楽しむ観光客の姿で賑わっています。
工場見学は予約不要で常時開催
壁一面のガラス張りの向こうには醤油が仕込まれている桶が並び、熟成期間の異なる諸味が個性的な表情をみせています。「工場見学をはじめます」という声についていくと、大豆を蒸したり小麦を炒る原料処理の工程が広がり、日本の大豆事情も交えた流暢な解説が続きます。この20分ほどのツアーを1時間ごとに開催しています。
原点の醤油に戻る
平成のはじめ、弓削多醤油は油やジュースなどの販売を含めた問屋業の割合が多かったそうです。4代目として家業を引き継ぐことになった弓削多洋一さんは、そもそもの原点である醤油にかえる決意をします。
「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない、醤油は調味料なのでうまくなければ意味がない」と、国産の原料を使用した木桶仕込み醤油に真剣に向き合いはじめます。そして、醤油をもっと身近に、気軽に楽しく経験できるようにと「醤遊王国」を2006年にオープンするのですが、顧客を蔵の中に迎え入れるスタイルは、当時の醤油業界では珍しく、同業者も見学に訪れたそうです。
海外出張でも朝の4時から
醤油づくりでは麹づくりが大切だといわれます。さらに弓削多さんは「よい麹をつくるには大豆の蒸しがとても重要」と話します。自らが社長業と共に杜氏業もこなし、大豆蒸しから麹づくりは最前線で陣頭指揮を執っています。海外出張があるときも、朝4時から大豆を蒸し、そのままスーツに着替えて空港に向かうこともあるそうです。
兄弟二人三脚で
実弟で工場長の真寿さんの存在も大きく、圧搾後の醤油の管理を担っています。最初を兄、最後を弟、という構図で最高の醤油を目指して両面から意見を戦わせ、大いに白熱することも多いそうです。「昔も今もお客様の多くが地元の人。造る醤油の9割9分が地元の食に根ざす濃口醤油です」。今日も地元に愛される醤油屋を目指し、兄弟で挑んでいます。
薄めても大丈夫とラーメン店主に人気
価格 : 450円+税
原材料 : 大豆(国産、遺伝子組み換えでない)、小麦(国産)、食塩