職人醤油の蔵元

ヤマシン醸造

伝統と新技術を大切に白醤油に徹する

白醤油の専業メーカーは数えるほどしかありません。そして、白醤油は琥珀色の澄みきった色が命。色が付きやすい木桶仕込みは敬遠されやすいものですが、創業200年超の老舗は80本の桶を大切にしています。

事務所横の郵便ポスト。いい味だしています。

愛知県碧南市は白醤油の産地

碧南市を車で走ると、醸造に関する看板を多く目にします。三河のみりんや味噌に日本酒、そして、溜醤油や白醤油などの醸造業が盛んな土地です。知多湾を起点とした海運や矢作川流域の穀物栽培が盛んな土地だったそうです。

この地に、創業から200年を数え白醤油に特化して製造を続けるヤマシン醸造はあります。

ヤマシン醸造の岡島晋一社長

白醤油をご存じない方も多いかもしれません。淡口醤油よりもさらに色の淡い醤油で、新鮮な素材の彩りを活かすことにかけては、右にでるものはありません。和食に使う醤油とも思われがちですが、洋食にも中華にも活躍していて、碧南市を中心とした白醤油メーカーが全国のニーズに応えています。

木桶で白醤油を仕込みます。その数は80本ほど。
桶底から白醤油を引き出す「生引き(きびき)」といわれる工程。

伝統と新技術をバランスよく

白醤油は小麦9に大豆1の割合で仕込み、色が淡くて糖分が高いことが特徴です。上の写真の三角の入れ物に3トンづつの小麦が入っていて、6トン(2本分)を一度に蒸していくそうです。「一度に6トンですか?」と聞き返してしまう程、これは結構な量で、桶に換算して1.5本分の仕込みになります。

白醤油は色の淡さが重要なのですが、仕込み期間が長くなるほど色が濃くなってしまいます。1本の桶を満たすために何度も仕込みをする必要があれば、それだけ時間を要してしまいます。逆に、一度に多くの量の仕込みができれば、より短期間かつ同一条件で管理することができるわけです。

そのために、連続で蒸せる装置が設置されています。醤油業界ではなかなか目にしないものですが、蒸気の中を原材料が通過するというイメージで、6トンという量を一度で蒸していきます。

蒸す工程。ベルトコンベアーでゆっくりと運ばれながら95度以上で40分ほど蒸します。
麹づくり。蒸された原料は室に運ばれて麹菌を繁殖させます。ここも清潔に管理された環境。

じっくりと待つ。でも、待ちすぎてはいけない。

出来上がった麹に対して130パーセントの量の塩水を加えて3ヶ月おきます。そして、「生引き(きびき)」といって桶の下に溜まった液体を引き出すのですが、それまでの間、何もしないそうです。かき混ぜたり、中の様子が心配になってしまいそうですが、じっとそのまま見守ります。

生引きをしたときに、最初に出てくる液体と最後の方のものとで違いがあるかといえば、同じ品質だといいます。これは桶の中の白醤油が、自身の力によって対流し均一化しているということで、だからこそ、邪魔をせずにじっくりと見守るのだそうです。

そして、生引きして残った麹に、今度は100パーセントの量の塩水を加えてさらに3ヶ月おき、そのままの諸味ごと圧搾して得られた液体が二番搾りとなります。生引きの一番と圧搾の二番とをブレンドした後に瓶づめされます。

桶を上からのぞいた様子。
色は淡く、うま味は多く。相反する要素を追求して現場はいつも試行錯誤。
桶の一本一本にこのような札がかけられています。2/15は塩水を加えた日。

素材を活かすことに徹する白醤油

醤油の味を付けるのではなくて、素材の魅力を引き立てるために、より綺麗な色とうま味を兼ね備えた白醤油が追求されています。着色を防ぐために一般的には加熱殺菌処理を行っていない白醤油は、麹菌由来の様々な酵素が生きている醤油でもあります。ぜひお試しください。

普段使いにしたい木桶仕込み白醤油

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ヤマシン白醤油
創業200年超の白醤油の老舗。素材を活かす醤油なので、お吸い物や炊き込みご飯、オリーブオイルと混ぜたりパスタなどへの活用も。

価格 : 450円+税
原材料 : 小麦、食塩、大豆、脱脂加工大豆/アルコール、ビタミンB1
この蔵元への直接のお問い合わせ
ヤマシン醸造 株式会社
〒447-0064 愛知県碧南市西山町3-36
TEL 0566-41-2231 FAX 0566-48-0101
http://www.yamashin-shoyu.co.jp/