職人醤油の蔵元

山川醸造

溜醤油の美味しさの可能性を広げる

元々は飲食店向けに業務用の溜醤油を手掛けていましたが、全国的に知名度の低い溜醤油の認知度を上げようと加工品にも挑戦。大ヒットした「アイスクリームにかける醤油」など独自のアレンジ商品も人気。

昭和18年(1943年)創業

溜醤油は独特の存在

主に東海地方(愛知・岐阜・三重)で製造・消費されている溜醤油ですが、一般に多く出回っている濃口醤油と比較すると製法から異なります。濃口醤油は大豆:小麦=5:5に120%程度の水で仕込むのに対して、溜醤油は大豆:小麦=8:2で50%の水で仕込みます。

大豆の量が多くて、仕込みに使う水が少ないというわけです。大豆のたんぱく質が「うま味」成分のもとになりますので、「 トロリとしたコクのある味」が特徴といわれています。また、仕込み水が少ないので、当然同じ量の原料から搾れる量は半分以下になります。

三代目の山川晃生社長

手をかけることが、心を込めること。

山川醸造は昭和18年創業で、現在の山川晃生社長が三代目。今でも職人が木桶で2年かけて仕込むスタイルを頑なに守っています。

溜醤油は週1回「くみかけ」という、底にたまった液をすくいかける作業を繰り返します。「機械ですればいいじゃないか?という声をたくさんいただきます。ただ、常に人の目で見て、体で感じて手を加えてあげる。そこに職人の心が入ると思うのです。」と山川社長。「我々は食べる人の命を預かっている。」「手をかけることが、心を込めること。」という言葉がとても印象的でした。

木桶と仕込みに使う石

目的は、「お客様が楽しく食事をしている光景」をつくること。

「昔は、たまりは東海地方の文化だ。オレたちが守っているんだ!という誇りを胸に、本物を作っていれば、受け入れられるはずだと考えていました。ただ、ある時、師匠に言われたんです。『文化論を振りかざして醤油を売ろうとするのはメーカーとしての傲りだ』と」

その時を境に考え方が変わったそうです。「例えば、昔の小学校にあったストーブは石炭。ところが石油ストーブに取って代われて、今では電気ストーブにとって代わられようとしていますよね。自分たちが勝手に文化だ伝統だといって、お客様に押し付けてはいけない。自分たちが追求するのはお客様の喜ぶ光景だったり、楽しい食卓なんです。」

一方、たまりの知名度は全国的にみれば低いのも事実です。しかも、東海地域の味であるはずの溜醤油が、近所のスーパーに足を運んでも溜醤油スペースが小さかったり、一切置いていないところを目にします。

危機感を感じるとともに、もっと多くの方に溜醤油を知ってもらいたいという想いから、様々な試みに挑戦しています。「醤油ゴマ」や「アイスクリームにかける醤油」は代表的なもので、「これをきっかけに、たまりを知ってもらえればいいんです!」。このように語る山川社長からは、伝統製法の継承者であり、普及推進者でありと様々な顔を垣間見ることが出来ます。

圧搾している様子
溜醤油の搾り粕

名古屋の味を支える存在

山川醸造はこれまで、料亭やうどん屋、鰻屋などの業務用に特化して醤油を販売していました。その結果、名古屋地域の1000社を超える顧客を抱えるまでに至っており名古屋の味を縁の下で支える存在となっています。

納入先の店主は味にこだわる方たちばかりで、要求レベルも当然高くなります。「うちの料理に合うように旨味を保ったまま、色をもう少し薄くできないか?」など。時には無理難題にも聞こえる要求に正面から立ち向かってきた歴史があり、そのような顧客に育てられたノウハウの蓄積が山川醸造の醤油造りを支えているのです。

濃口換算で三分の一しか造れない

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みのび
一般的な濃口醤油と比べて、仕込み水が少ないため濃厚でうま味が凝縮されています。山川醸造のたまりを使う名古屋地域の飲食店は1000以上。地域の味を支えてきた存在。

価格 : 550円+税
原材料 : 大豆、食塩、小麦/アルコール

超濃厚で甘くてお洒落なだし醤油

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漆黒
濃厚なたまり醤油をベースにしただし醤油。薄めてめんつゆや煮物に、アボカドやピーマンの肉詰めなどにそのままかけて。鰹・椎茸だしが溶け合ったうま味の雫でファン多し。

価格 : 600円+税
原材料 :たまりしょうゆ(国内製造)、風味調味液(食塩、醸造調味料、そうだかつお節、かつおエキス、たん白加水分解物、煮干エキス、乾椎茸)、砂糖、みりん/調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル)、ビタミンB1(一部に大豆・小麦・さばを含む)
この蔵元への直接のお問い合わせ
山川醸造
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