職人醤油の蔵元
長友味噌醤油醸造元
地元にも海外にも目を向ける
九州の南部に位置する宮崎県は甘さたっぷりの醤油で有名。そんな地元に根差した醤油をしっかりと手掛けつつ、アジアに実演販売にも出かける。「直線距離だと東京より近いですからね」と、いたって普通のことのように話す。
印象的な初訪問
初めて長友味噌醤油醸造元を訪れた時のことが、とても印象に残っています。いつもながらのアポイントなしの突然の訪問だったのですが、「あぁ!職人醤油さんよく知っています。以前からインターネットで見ていたんです。ただ、うちには来られないと思っていました・・・」
「どうしてですか?」と伺うと、「だって、うちはこの通り小さな醤油蔵です。おまけにアミノ酸液と甘味料を使っている醤油ですから・・・。」
九州の甘い醤油
九州のスーパーマーケットに行くと、醤油コーナーの主役は甘いタイプの醤油。関東地方にお住まいの方は甘いと感じると思いますが、九州の方にとっては関東の醤油こそしょっぱいとか辛いという印象。醤油の地域性の面白さであり、土地に根付いた食文化なのです。
甘い醤油はアミノ酸液と甘味料を加えているものが多く、アミノ酸液は大豆などのタンパク質を分解したうま味の成分です。これらは添加物に分類されるわけで、塩見さんが気にかけていたのはこの点だったのです。そんな話を率直にされる塩見裕一郎さん・陽子さんご夫婦。なんて正直なんだろうと思いつつ、工場見学や醤油造りの話を伺う程にどんどん魅力が増していくのです。
シンガポールと宮崎の醤油蔵
長友味噌醤油醸造元は塩見陽子さんのご実家。結婚当初は家業を継ぐ気はなかったそうです。しかも、裕一郎さんはスイス系銀行に勤務しシンガポール在住。そんな矢先に、先代の長友昭彦さんがお亡くなりになります。
「100年を越える伝統をもつ醤油蔵に自分たちがピリオドを打つことは簡単。ただ、後々に後悔をしてしまうかもしれない・・・それならば、やってから決めよう!」若い頃から海外への憧れが強かったそうですが、「実際に海外で生活をしていると、日本の良さがどんどん分かってくるんですよ。そんな思いも重なっていたと思います。」とも。
慣れるほどに難しい醤油づくり
「最初は作業だったのです。」麹の仕込みの作業に諸味の攪拌(かくはん)作業。相当な体力仕事なので、早く終わればいいのにと、そう感じていたそうです。マニュアルに従うように作業を重ねていき、勝手が分かって作業効率があがっていくかというと、そうではない。
「一つ一つの作業の意味が分かってくるんです。そして、日々向き合っている諸味に愛着が湧いてくる。諸味の様子が良ければ嬉しくなるし、悪いと落ち込む。何が原因かを考えて対策を講じると、あれが良くなかったのではないか?こうすれば良いのではないか?と、どんどんすべきことが見つかってくる。」
醤油造りは生き物を相手にしていることを強く感じるし、経験する程に一つ一つの作業の難しさを感じる。「だから、自分はまだまだです。知れば知る程、奥が深すぎる世界ですから!」
甘い醤油に誇りも持って
麹造りから自社で手がける醤油造りは先代が頑なに守り続けたもの。塩見さん夫妻のお母様にあたる長友悠子さんは、「やっぱり自分のところの醤油は風味が違う。どんなに大変でも自分たちで一から手がけていきたい。」と、今も現役で醤油造りを支えています。
宮崎県も北の方は比較的しょっぱさのある醤油が好まれ、南はより甘い醤油が好まれる。「ここはちょうど中間の甘さだと思うのですが、地元の方に愛され続ける醤油を造りたい。どこに出しても恥ずかしくない甘い醤油をつくりたい。」と力強く語る塩見さんはすっかり蔵人の風格が漂っていました。
九州の醤油は甘い!を感じます
価格 : 450円+税
原材料 : アミノ酸液(国内製造)、食塩、脱脂加工大豆、小麦、果糖ぶどう糖液糖/カラメル色素、甘味料(ステビア、サッカリンNa、甘草)、調味料(アミノ酸等)、保存料(パラオキシ安息香酸)