職人醤油の蔵元
フンドーダイ
熊本県でよく知られる醤油の老舗
2019年に150周年を迎えるフンドーダイ五葉の創業は1869年。熊本県内では多くの方に知られている醤油メーカーです。江戸時代から酒造りをしてきた大久保家。11代目が醤油醸造業へ転身し、地元に愛される味を追求しながらアルコールフリー醤油などの新しい技術にも挑み続けています。
量産できる体制と風通しのよい現場
大型の円盤製麹室は大豆12トン、小麦12トンの仕込みができるサイズ。きれいに清掃されていて、空間全体が香ばしい麹の香りに包まれています。
「すっきりした醤油づくりを心掛けています」と、話すのは品質保証室長の坂本幸二さん。話す口調がとても柔らかく、若いスタッフに交じって談笑している姿に全く違和感がありません。
熊本の甘い醤油は調合技術にあり
熊本県は甘みのある醤油が一般的で、ベースとなる生揚醤油に調味をしていきます。「まずは、火入れをしながらアミノ酸液や砂糖を溶かし、その後に調味料や甘味料を加えます。このあたりの加減が各社の技術になりますが、出来上がりから逆算をしていくと、生揚醤油はすっきりしたものが適していると思います」と、坂本さん。
独自の技術に磨きをかけ、特許も多数。
さらに現場を案内いただくとユニークな設備があります。はじめて目にするものだったので、「これは何ですか?」と質問をすると、減塩醤油をつくる設備だそうです。原理を伺うと、なるほどと感じるものですが、一般的な方法とは異なります。これも長年突き詰めてきた技術だといいます。
何か困ったら坂本さんに
「坂本さんって、醤油のことは何でも知っているんです。製造のことも品質管理のことも、何か困ったら坂本さんに相談すれば大丈夫って存在なんですよ」と品質管理課の荒木さんが教えてくれました。
工場を案内いただく最中に、麹づくりに関する雑談の中からあるアイデアが挙がりました。すると、「今度、試してみようか!」と坂本さんが瞬時に反応され、荒木さんも「いいですね」と笑顔で返します。なんてことのない会話のようですが、今回の取材で特に印象に残っている一場面でした。
風通しのよい現場
一般的に、生産量が多い醤油メーカーにとって、小ロットで何かに対応することは簡単ではありません。そして、同じ作業の反復だけが日常の業務になっていれば、新しい取り組みは面倒ですし腰が引けるはずです。
ところが、坂本さんと荒木さんの会話には、それを微塵も感じさせない雰囲気がありました。しかも、ベテランと若手の会話ですから尚更です。そして、製造現場のスタッフの方が常に笑顔で挨拶をしてくれるのも、共通の理由があるように感じます。
無添加の甘い醤油づくり
創業150年を迎えるタイミングで取り組んでいるのが無添加の甘い醤油づくり。「熊本の中でも甘さの加減は地域によって異なります。その熊本の甘さを表現しながら、特に九州の甘さに慣れていない方に受け入れていただける味を目指して、何度も試行錯誤を繰り返しました」と、話すのは商品開発室の早田さん。
和三盆と赤酒を加えた醤油の名は「平成」
高級砂糖として知られる「和三盆」と地元に古くから伝わる「赤酒」。和三盆はご存知の方も多いと思いますが、赤酒は熊本生まれの方にはお馴染みで、お正月のお屠蘇の定番。清酒に木灰を加えて2年間熟成させたもので、みりんと同じように使えます。
九州産大豆・小麦を使った本醸造醤油にこれらの原料を加えてつくられた醤油は「平成」と名付けられました。時代の節目につくられた醤油。そして、フンドーダイらしさがたっぷりと詰まった醤油のように感じます。
和三盆を使った無添加の甘口醤油
価格:500円+税
原材料 : 大豆(九州産)、小麦(九州産)、食塩、和三盆糖、赤酒
見た目にもめずらしい透明醤油
価格:500円+税
原材料 :しょうゆ蒸留液、食塩、醸造酢/調味料(アミノ酸等)、トレハロース、アルコール、環状オリゴ糖(一部に大豆・小麦を含む)