職人醤油の蔵元
遠藤醤油
半世紀以上、醤油造りの第一線に
「うちの醤油は特徴がないからなぁ・・・」 と、遠藤善和さんはこう呟きます。「えぇ~!」私はただただ唖然・・・日本全国で昔ながらの木桶仕込み醤油がとても貴重なものとなっている現代、30石(約5,400リットル)の木桶が30本以上現役で活躍していることは本当に貴重なことなんです。
蔵は昭和元年に作られたもので、仕込み場の建物に至っては大正6年。醤油の原料となる大豆と小麦から麹(こうじ)を造る室(むろ)は8石を仕込める大きさを誇っています。一石が約180キロなので、1,500キロを一度に仕込める容量を持っているわけです。 これだけ歴史を兼ね備えた立派な蔵を持っているのですから、「特徴だらけでは?!」と思ってしまいますが、遠藤さんと話をしていると、これが遠藤さんの人柄なんだな・・・と妙に納得してしまうのです!!!
醤油造り半世紀
遠藤さんは昭和31年に養子に入り、遠藤醤油3代目を継承、その2年後、先代が脳出血で倒れ、1年間の闘病生活の末に旅立たれたそうです。毎日、先代の枕元に通っては醤油造りのコツを教わり、同時に、先代が書き残してくれた醤油造りを綴った5冊ほどの帳面を片手に試行錯誤の毎日を過ごしていたそうです。 「男性の散発代が醤油の一升瓶と同じくらいの価格だったもんだよ・・・」という時代を過ごし、「昔は4石の麹を仕込むのに8人がかりだったんだ。昼夜問わず世話をしなくてはいけないから必ず2人でお互いに声を掛け合いながらの作業だったんですよ。当時は、炭で温度調整をしていたから、ちょっとでも気を抜くと一酸化炭素中毒になっちゃうからね・・・(笑)」と。 このように半世紀以上も醤油造りの第一線に関わっていたにも関わらず、「まだまだ毎日が勉強だ!」というスタンスは決して崩さない遠藤さん。そして、「醤油大好き!」が話の内容と口調から伝わってくるのです。
地元産の原料で仕込みをしていきたい。
「実はね、この地域の大豆・小麦で仕込みをしようと思うんだ!」来年の仕込から滋賀県守山市近辺で収穫された大豆・小麦での仕込みを開始できる目処がたったそうです。 「丸大豆だから三年は寝かせたいと思うんだよね・・・」とニコリ。この職人醤油のラインナップにその銘柄が登場するのは三年後というわけですが、遠藤さんと話しているとずっと先という感じがしないから不思議です。
生協との二人三脚の歴史。
各地で昔ながらの造りをしている醤油蔵がその姿を消しています。残っている蔵には何かしらの理由があるように感じているのですが、遠藤醤油の場合、「生協」とのつながりを語らないわけにはいかないと思います。 まだ、生協が今ほどの大規模な組織でなかった時代、ご近所さんから声をかけられたのが「生協」だったそうです。温度管理をして短期間につくられた醤油が普及していく中で、自然環境の中でつくられた醤油はないものかと白羽の矢がたったのが遠藤醤油。 まさに二人三脚の歴史だったそうです。「本当に家族的な付き合いだったんですよ。発注量に対して生産が間に合わないと生協のスタッフが応援にきてくれてね。みんなで瓶詰め作業ですよ!」
喜んで工場見学を受け入れる。
実際に生協の組合員さんが工場見学に訪れることもあったそうです。「みなさん蔵を見るとビックリされてね。醤油ってこうやってつくるんですね~。」そして、一度蔵を見た人はファンになってしまうのだと思います。 しばらくすると、生協がツアーを組んで、観光バスでやってくるようになりました。遠藤さんも見学者を座敷に招いて醤油造りの工程や微生物の働きなどを解説する・・・きっと、家族全員でのもてなしだったことは、容易に想像がつきます!使い手の方との関係も大切にする。これも遠藤さんの人柄なんです!
遠藤さんは醤油を造って半世紀
価格 : 450円+税
原材料 :しょうゆ(国内製造)、米発酵調味料、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、濃縮合わせだし(かつお節・宗田かつお節・さば節)、昆布エキス、砂糖、酵母エキス(一部に、大豆、小麦を含む)