職人醤油の蔵元
栄醤油醸造
昔ながらの価値を進化させ続ける
国産原料と木桶仕込み。ずっと続けてきたら、周回遅れで認めてもらえるようになってきたといいます。過去の仕込みデータを几帳面に記録し、商品の質と顧客からの信用を積み重ね続けています。
昔とあまり変わっていません。
三河からやってきた刀鍛冶がルーツ。「自分が5代目だと思っていましたが、瓦を新しいものに変えていた時に天保やら文政などの元号が出てきて、調べ直したら7代目でした」と、話すのは深谷益弘さん。職人気質溢れる7代目です。
「周回遅れのようなものです」といいます。今となっては、国産大豆や木桶仕込みの昔ながらの造りを守っていて素晴らしいと評価されることも多いそうですが、機械化と大量生産化が推進されていた時代には、時代遅れや田舎者と見られていたといいます。
「頭のいい人たちは機械化して大量生産にシフトしていました。経営も多角化してどんどん売上をあげていきましたが、みんな醤油づくりを辞めてしまいました。原料にこだわって昔ながらの造りを続けた結果、周回遅れで先頭に追いついたというか、世間から認めてもらえるようになった気がします」と話してくれました。
緻密さと勘
職人技というと、長年の経験と勘が大切とされがちですが、深谷さんはそのイメージを覆してくれます。事務所のパソコンの中には仕込みに関する詳細なデータが蓄積されていて、エクセルを使いこなして毎回の仕込み量から温度管理の経緯、塩水に関する数字が記されています。
「Windows95」が発売される前からパソコンに熱中して、「DOS」と呼ばれるシステムを使いこなしていたそうで、深谷さんの頭の中は理系のようです。ただ、「緻密なデータ管理よりも勘の方が大切だとも思っています」ともいいます。データに裏打ちされた緻密さと職人の勘、両方のバランスが栄醤油醸造の醤油を支えているのだと思います。
店売りが一番
蔵に併設されている店舗での販売が多いそうです。卸業者や小売店での販売ではなく、ご近所の方や遠方からわざわざ訪ねてきてくれての販売です。「たくさん買ってくれるところではなく、大切に扱ってくれるところを大切にしたい」といいます。愛情を込めて造っているからこその表れだと感じます。
「醤油造りで大切にしていることは?」と質問をするとこんな答えが返ってきました。「信用を積み重ねていくこと」先祖から引き継いだ信用やブランドを大切にしていくことであり、常に試行錯誤を繰り返してお客様からの信用を積み重ねていくこと。「これでいいと思ったときが一番危ない」という一言がとても印象的に残りました。
昔のまんまなので多くは造れません
価格 : 500円+税
原材料 : 大豆(国産)(遺伝子組換でない)、小麦(国産)、食塩
濃口醤油のようにつかえる淡口醤油
価格 : 450円+税
原材料 : 大豆(国産)、小麦(国産)、食塩