職人醤油の蔵元
タイヘイ
巨大な桶で質を追求して
日本最大といっても過言でない60石桶がズラリ。このサイズを100本以上、現役で使っているのは日本中を探してもここだけ。そして、その中で年1回だけ搾る限定醤油の桶があり、限界までの質を追求しています。
60石桶が110本以上並ぶ蔵
千葉県銚子市の南に位置する匝瑳(そうさ)市。タイヘイの蔵には巨大な木桶が整然と並んでいます。その数110本以上。その数にも驚くところなのですが、さらに特徴的なのはその大きさなのです。
一本の大きさが直径3メートル×高さ3メートル。昔の単位で60石(約11,000リットル)になります。一般的に日本各地で目にする桶は20石~30石サイズが多く、60石を目にするのは関東地域、特に千葉県でしか出会えない珍しい大きさです。
生活クラブと歩んできた30年
桶のサイズが大きくて数も多い。年間を通じて仕込みをしているので生産量も多いです。このような場合、大量生産による安売り競争を戦ってきた歴史の話を伺うことが多いのですが、タイヘイの場合は少し違います。
生協(生活クラブ)と歩んできた30年の歴史が、タイヘイを独特な立ち位置にしているように感じるのです。生協から求められるのは安心安全に加えて品質。そこに量産という相反するような要素を加えつつ試行錯誤してきた歴史があります。
「昔は四斗樽を担げることが入社条件だったんですよ!」と、今でいう「手づくり」の醤油づくりから、少しずつ機械が導入されていく変遷を身をもって体験してきたそうです。だからこそ、確固とした醤油づくりの持論が・・・。
機械を操作することが仕事じゃない!
こう話す伊橋工場長が印象的でした。「機械の操作が仕事になっちゃいけないと思うんですよ。特に麹の担当者は意識をしないと機械のボタンを押しているだけでできてしまう。これでは絶対にダメだと思うんです。」
「だから、必ず麹を食べてくれと言ってあります。」自分たちが手掛けているものが良いのか悪いのか、その判断ができる感覚を磨かなくてはいけない。五感を全てつかって醤油と向き合わないといけないというわけです。
こだわりの桶が一本
薄暗く静まり返る蔵の中に一本だけ特別な桶があります。創業125周年の記念の年からはじまった一本だけの特別な仕込み。一年に一度だけ桶一本だけの醤油で、これだけが「平左衛門」と呼ばれています。
「多く流通している醤油は香ばしい香りが重視されていると思いますが、それとは一線を画す立ち位置にしたいんです。」原料も製法も全部こだわろうと、山形県産の大豆、北海道産の小麦、長崎県産の塩「海水塩」を使って、圧力をかけない搾りである「自然垂れ」のみを使用。火入れも極力低温。透き通る赤褐色とうま味とのバランスは見事です。
六十石の超大桶仕込みで限定搾り
価格:600円+税
原材料・大豆、小麦、食塩