職人醤油の蔵元

吉永醸造店

創業は昭和三年。量り売りをするまちの醤油屋が今でも健在。

直接説明できる範囲で商売をしたい

鹿児島中央駅から歩いて数分。吉永醸造店の店先に配達帰りのトラックが停まっていました。「自分たちで説明できる範囲内の商売をしたいと思っています。だから、地元のスーパーにも卸販売をせずに、御用聞きで各家庭に配達をしています」と、話す吉永広記さんと初めて出会ったのは2010年の冬。その時の肩書は専務でした。

トラックで直接配達もしています。
3代目の吉永広記さん。2015年から代表取締役に就任。

鹿児島の味を伝えていきたい

吉永さんが銀行勤務を経て家業に戻ってきたのは2003年。その時から醤油も味噌も一から勉強をし直したそうです。「日々やりがいは感じますね。お客様に接することや良い商品がつくれた時はもちろんですが、学校給食用に運んでいく時は特にです。子供たちに地元の味覚を伝えたいですし、それができる立ち位置にいるわけですから」。

店舗の壁には工場見学に来た小学生からのお手紙集や、みそ玉づくり教室をしている様子の新聞記事が貼られていました。

甕の中に醤油が入っていて、量り売りをしています。
大きな漏斗を一升瓶に差して醤油を注ぎます。

店頭で量り売りもしています

ご近所さんと思われる男性が一升瓶を片手に店内に入ってきました。「5合ね」と伝えながら吉永さんにビンを手渡します。店頭では量り売りもしていて、大きな漏斗と柄杓を使って甕の中にはいった醤油をビンに注ぎます。

このようにビンを持ち込む方が多いそうです。その様子を見学していると、明らかに一升瓶の半分以上の量を入れています。5合といえば一升瓶のちょうど半分の量のはず。ただ、「いいんです。これで」と、吉永さんは笑います。

単に甘いだけでなく、甘み、とろみ、コクの調和を大切にしている醤油。

鹿児島の醤油の特徴は

鹿児島県の醤油の多くは共同工場で生揚醤油までをつくり、各社で火入れと味付けをしています。味付けといっても何種類もの甘味料をどのような配合で使い、何度まで加熱するか等の技術の妙を各社が持っています。

「最近、料理店に配達に行くと、みなさん人手不足に悩んでいるんです」と吉永さん。飲食店が営業時間外にしている仕込み作業、あらかじめ醤油に味付けをすることで同じ味を再現できないかと依頼が増えているそうです。

大きな火入れタンク。

うちでは出来ないと言いたくない

このようなオーダーメイド商品は、ある程度の製造量でないと引き受け手が少ないのが一般的です。「でも、小さな店こそが困っているので、できる限り対応したいと思っています」と吉永さん。

「そして、鹿児島の郷土料理である豚味噌や惣菜にも対応できるように製造場所の改良を進めています。だって、お客さんから『こんなことできない?』と言われて、『うちではできない』って言いたくないじゃないですか」と、そう話す姿勢が吉永醸造店そのものを表しているように感じました。

屋号は菱形の中に「吉」の字でヨシビシ。
この蔵元への直接のお問い合わせ
吉永醸造店
〒890-0046 鹿児島県鹿児島市西田2-2-3
TEL 099-254-2663 FAX 099-252-2788
https://www.yoshibishi.com/

とろっとまろやかな鹿児島の甘口

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天龍
まろやかな甘みとほどよいとろみがくせになる味。いつもの醤油にブレンドしてお好みの甘さにするのもおすすめです。

価格:450円+税
原材料 : アミノ酸液(国内製造)、脱脂加工大豆、食塩、小麦、糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖)/カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、甘味料(サッカリンNa、甘草、ステビア)、増粘剤(キサンタン)、ビタミンB1