職人醤油の蔵元
福岡醤油店
独自を追求して平日でも大にぎわい
緑に囲まれた土地をずっと車で走ると福岡醤油店に到着します。平日でもここの醤油を買い求める方が多く、山を越えて奈良県から来たのよという方も。甘味をつけた独特の味わいに根強いファンが多いのです。
百年受け継がれてきた伝統の技。
三重県伊賀市島ヶ原は、旧国鉄社員と農業の兼業農家が多く、定年退職をきっかけに家を建てるという伝統があったそうです。そのため、瓦が敷き詰められた立派な家々が並んでるのですが、その中に、一軒だけ瓦屋根が真っ黒の建物があります。
「あそこの家とほぼ同時期に建てられたんだけど、瓦の色が全然違うでしょ?!」と川向さん。確かに、比べると歴然とした差があることが分かります。福岡醤油店の瓦は本当に真っ黒なのですが、これは醤油作りに欠かせない「乳酸菌」や「酵母菌」の影響。蔵に微生物たちが住み着いている証拠でもあるのです。
究極の混合醤油。
福岡醤油の醤油は「混合」という種類の醤油です。アミノ酸液を添加している醤油の種類で、九州地方などで多く流通している醤油です。「添加物の入っている醤油は口にしない!」という声を伺うことは多いのですが、そのような方こそ、試していただきたいと感じる醤油です。
量産化&低価格化を目的とした添加物の使用ではなく、美味しさの追求のための添加物の存在感を感いただけると思います。 「大手企業と同じことをしていてはだめ。徹底的に、お客様に美味しいと言っていただける醤油づくりをしてきたんです。一見、添加物一切なしのラベルは見た目は美しいけど、お客様の美味しいを追求した結果として、この形になったんです。」
麹蓋(こうじぶた)での仕込み。
醤油の味を決定づけるといっても過言ではない麹づくり。その麹は厚さ50センチの土壁で覆われた空間でつくられます(これを室(むろ)といいます)。実はこの壁の厚み、最初は10センチ程度の厚さだったそうです。ただ、その時は、いい麹ができなかった。そこで、20センチ・30センチを年を経る毎に厚くしていって、50センチまで厚くしたときに満足のいく麹ができたそうです。 また、留釜(とめがま)といって、大釜で蒸した大豆を一晩釜の中に置いておくと色が黄色から黒くなります。だから、若干黒みがかった大豆が麹蓋に載せられて室の中で麹に変化していくのです。
キリン梃子搾り
木桶の中でじっくりと熟成した諸味(もろみ)は袋に入れられて搾られます。一般的には油圧や水圧式の装置で圧力をかけることが多いのですが、福岡醤油店では昔ながらの梃子式の搾り機が使われています。 熟成した大豆(もろみ)をあまり強い力で搾りすぎると、大豆の油分までしぼり出されて混ざってしまう為、美味しい醤油にはなりません。長い棒の先端に重りをつけて、じわじわと搾っていくのですが、この姿が「キリン」に似ていることから「キリン圧搾機」と呼ばれています。搾りたての生の醤油がちょろちょろと下のかめの中に落ち込んでいきます。 1トンを超える重さに耐えられるように、地下には4メートルを超える「栗」の木材が敷かれています。栗の木はとっても堅いんです。長年地下から支えてくれています。
ラベル貼りも手作業
そして、醤油づくりはもちろん、ビンのラベル貼りまでのすべての工程を手作業で行っています。 実は、この「ラベル貼り」って、結構手間がかかり重労働を要するんです。ラベルもシール製ではないので、紙に糊を付けてビンへと接着します。その「のり」を左手に山盛りにしておき、右手で少しずつ取りながらラベルに塗るわけです。もちろん、曲がっていないかチェックをしつつ、箱に詰める前には指紋を拭き取ります。一本一本にわたってこの作業を繰り返します。 この工程までを手作業にしている理由をお伺いすると、「目で見て心を据えてもらいたいから・・・なんですよ!」と川向さん。「自分の娘の嫁入り道具を相手先に届ける時って、きっと細心の注意でもってお送りすると思うんですよ。それこそ指紋のひとつ残らないようにね・・・私たちの造る醤油も同じ。心を込めてお客様に届けたいから、手間はかかるけど1本1本手作業でお送りしてるんです!」
はさめずの味が全てを語ります
価格 : 450円+税
原材料 : アミノ酸液(国内製造)、大豆、小麦、食塩、ぶどう糖果糖液糖/調味料(アミノ酸等)、アルコール、甘味料(甘草)、カラメル色素