木桶職人復活プロジェクト
木桶づくり 2019年
今年も新桶をつくりました
2019年1月21日~26日にかけて小豆島のヤマロク醤油で新桶づくりを行いました。今年も全国の醤油蔵、酒蔵、流通関係者、そして、木桶好きな方たちが集まっての作業。活気に満ちた1週間になりました。
休む暇もない一週間
朝8時頃から作業をはじめて、日が暮れたら桶サミットと称する宴が深夜近くまで。新たに来る人、帰っていく人、常に人が入れ替わり毎日が異なる顔ぶれになるのですが、いつもテンション高く楽しみながら作業することは変わりません。
製法も進化して計7本の桶づくり
今年は7本の桶をつくりました。秋田県の新政さん、愛知県の日東醸造さん、岐阜県の山川醸造さんにそれぞれ運ばれ、残りの4本はヤマロク醤油さんの仕込み桶になります。
製法も毎年進化をしていて、より省力化して、よりスムーズに。締めたり叩いたりする頻度が少なくなれば、木や竹へのダメージも少なくなります。
桶の構造を理解して自分たちでメンテナンスを
桶づくりの傍らでヤマロク醤油の山本さんによる桶講座。長年使われた桶のメンテナンスに鉄製のワイヤーバンドで締めることがあるのですが、締めすぎればいいということではありません。ちょうどいい加減が必要なのですが、それが難しい。
「この部分を締めすぎると、こっちのこの部分に隙間ができてしまう・・・」「側板の形も桶をつくった職人によって3パターンあって・・・」など。桶の構造を理解すれば、自分たちでメンテナンスをすることができ、適切にメンテナンスできれば桶の寿命を延ばすことができます。
昼食はとにかくすごい!
そして、間違いなく楽しみの一つである昼食。今年も麺や七彩の阪田さん、饗 くろ喜の黒木さん、魂麺の山西さんたちによるスペシャルメニューです。小豆島で調達した素材によるオリジナルの一品。皆の歓声が響いてテンションも最高潮に。
皆でつくりあげる桶
箍の中に入れる芯とよばれる部分があります。細い竹に縄を巻いたもので、桶と箍を密着させて箍のシルエットを保つために大切なもの。細い竹を重ねて5メートル程の長さになります。
縄をひたすら巻く作業は地味に大変。そこで、クルクル回しながら掛け声にあわせて共同作業するのが定番に。「半分きたー!」「あと2メートル!」「終わったー!!!」。大きな歓声。腕がぱんぱんになっています。
底板を入れる
筒状になった桶に底板を入れていきます。箍でぎゅっと締め付けられているところに、少しだけ大きな底板を打ち込んでいくのですが、大きな柱のような道具をつかって4人がかりの作業。
「せーの」ドン、「せーの」ドン、と周囲から掛け声にあわせて柱を持ちあげて勢いよく落とします。上にのる2人の足場は桶のふち。時々交代をしながら桶のまわりを何周もして、少しづつ落としていきます。
Baladinの木桶ビール
2015年につくった木桶がイタリアに渡り、クラフトビールブルワリーBALADIN(バラデン)社によって18ヶ月間熟成されたビールがあります。
貴重な一本をこの場で開栓することに。皆で分けたので一人分はおちょこサイズ。長期熟成なので発泡はなく、はちみつを熟成させたような、普通のビールとは違った味わいです。そして、「醤油の香りがする!」と口にする人もいて、桶だからこそ醸せた味わいを堪能しました。
桶の旅立ち
7本のうち1本が愛知県の日東醸造さんに向けて旅立っていきました。パレットにのせて梱包。トラックのサイズもぎりぎりです。
来年の桶づくりにつづく・・・
今年もたくさんの方が小豆島に集まりました。どうして桶で醤油を仕込むのか?「やっぱり、それはおいしいから」。そんな会話が印象に残っています。
醤油蔵はもちろん、酒蔵、味噌蔵、流通関係者に飲食関係者。年を経るごとに盛り上がりを感じています。桶仕込みが増えて、桶が増えて、桶職人が増えて・・・。さらに桶が盛り上がっていけばいいなと思います。