木桶とは
⑥底板
桶のつくりかた⑥ 底板
「底板」はその名の通り、桶の底に取り付ける板です。厚みのある木材を竹釘でつなげて一枚の板にし、円形に切り出していきます。大きさが違ったり隙間ができると漏れの原因になってしまうので、精度が求められる工程です。
精密な加工が求められます
桶の円周を測って、少しだけ大きめにつくります。箍でぎゅっと締め付けている所に、大きめの底板を入れることでさらに密着させるのです。また、木は時間がたつとやせてしまいます。その変化を考慮して、真円ではなく少しだけ楕円形にしています。
大きな柱で叩きます
底板を叩いて落とし入れていきます。胴突(どうつき)と呼ばれる大きな角材を持ち上げて落とすのですが、桶の中に2人が入って、さらに2人が桶の淵にあがって支えます。
一ヶ所を叩き続けるのではなくて、全体を均等に下ろしていかなくてはなりません。上の二人はカニ歩きをしながら桶のまわりを何周もすることになります。
落とす場所とタイミング
危ないように見えますが、胴突を持っていれば転落することはありません。前に体重をかけすぎてもいけないし、後ろにかけすぎてもいけない。胴突を持ち上げて、落とす場所とタイミングに注意しながら、ぐっと足の裏に神経を集中させる。気づけば真冬でも汗だくになっています。
胴突が落とされた時の「ど~ん!」という低音。ある程度の位置に入ると音が変わります。桶の中で反響して、さらに独特の迫力のある音が響き渡ります。
桶の完成です
実際に水を入れて漏れがないかの確認をしたら、完成まであと少し。箍をバーナーで炙って形を整え、表面にヤスリをかけて仕上げたら、蔵に運ばれます。そして、これから百年以上、仕込み桶としての役割がスタートするのです。