木桶とは
②棚と桶たて
桶のつくりかた② 棚と桶たて
角度をつけて削った側板を並べていくと円柱になります。それが桶の形になっていくのですが、いきなりこの形を組むのは大変です。まずは、4枚程度を組み合わせた「棚(たな)」とよばれる状態にします。
棚の寸法をあわせて桶の円周を作っていく
数枚の板をあわせて「棚」をつくり、この棚の寸法を調整することで、目標とする桶の円周に近づけていきます。
棚の底に近い部分は隙間があいたままの状態になります。これは、側板を削る時に底に近い部分は細くしているためで、この部分を箍で締めることで桶特有のシルエットが生まれるのです。
つなぐのは竹釘
側板と側板をつなぐ時に接着剤は使いません。鉄の釘も使いません。使うのは竹釘を5~6本だけ。それだけです。竹釘は板同士のずれを防いでいるのですが、そもそも竹釘がなければ桶を組み立てることはできません。小さいけれど重要な材料です。
棚をあわせて桶を立てていく
いよいよ桶を立てていきます。ドラム缶の支えを借りながら棚同士を繋いでいきます。ここでも板を繋いでいるのは竹釘のみ。力加減が強いと竹釘が折れてしまうので、慎重に作業を進めていきます。
不安定な側板がゆらゆら
簡単なようで難しい作業です。板同士をつなぐのは竹釘だけなので、ゆらゆらと波の様に動いてしまいます。手元を少し動かすと、向こうが動いてしまう。その部分を微調整すると、また別の部分が動いてしまう。いたちごっこ状態を繰り返しながら数人がかりで円におさめていきます。
鉄のワイヤーで仮締め
円形に組めたら、仮輪(鉄のワイヤー)をはめて、ボルトをまわして締めていきます。桶の表面をたたくと「ドンッ!」と音がするのですが、ボルトを締めて側板を密着させるにつれて「ドォーン!」と高くてきれいな反響音に変化していきます。
鉄のワイヤーとボルトでかなりしっかりと締めていくのですが、後の工程で竹箍を入れる時には、さらにきつく入れていきます。竹ってすごいなと感じる瞬間です。